この記事では、「酸化焼成」と「還元焼成」の違いを分かりやすく説明していきます。
「酸化焼成」とは?
「酸化焼成」とは、「完全燃焼の状態で焼き上げる陶磁器の焼き方」のことです。
「酸化焼成」では、「黒煙・有害な一酸化炭素(CO)の排出量が少ない完全燃焼状態」で焼き物を焼いていきます。
「酸化焼成」でもある多少は一酸化炭素が排出されますが、その大半は煙突から外部に排気されて新たな酸素が取り込まれていきます。
そのため、酸化焼成中の「一酸化炭素濃度」の割合は、おおむね「2%以下」とされています。
一酸化炭素がそれ以上のパーセンテージを占めるようになると、黒煙が排出されてくる「還元焼成」に移行しやすくなります。
「酸化焼成」で「鉄釉(てつゆう)」を加熱していくと、「黄色(黄瀬戸釉)」の色味が出てきます。
「還元焼成」とは?
「還元焼成」とは、「酸素の供給量が不足している不完全燃焼の状態で焼き上げる陶磁器の焼き方」のことです。
「還元焼成」という焼き方は、「酸素濃度が低くて一酸化炭素濃度が高い空間で加熱する焼き方」になります。
「還元焼成」では、「酸化焼成」よりも一酸化炭素(CO)の排出量が多くなります。
「還元焼成」を行う場合のCO濃度は一般に「4%以上」が目安になってきます。
この一酸化炭素濃度のパーセンテージがさらに高まると、特別に「強還元焼成」の名称で呼ばれることもあります。
「強還元焼成」を行うと、分かりやすく黒い煙がもくもくと立ち上りやすくなります。
還元焼成を間違いなく行いたい場合には、「ガス窯=専用の高温還元焼成炉」を使用することになります。
「鉄釉」を「還元焼成」の方法で焼いていった場合、独特な青磁釉とも呼ばれる「青色」の色味を出すことができます。
「酸化焼成」と「還元焼成」の違い
「酸化焼成」と「還元焼成」の違いを、分かりやすく解説します。
「酸化焼成」という陶磁器の焼き方は、「酸素が十分な完全燃焼の状態で焼くこと」を意味しています。
「還元焼成」の焼き方は、「酸素が少なく一酸化炭素が多い不完全燃焼状態で焼くこと」を指している違いがあります。
「酸化焼成」は陶磁器のスタンダードな焼き方です。
そのため、現代で使っている比率が高い「電気窯(オーブン窯)」で実施することができます。
しかし、「還元焼成」のほうはヒーター線では十分な熱量を出せないため、「専用のガス窯」でないと実施しにくい点が異なっています。
歴史的に「還元焼成」にもっとも適しているとされる窯は、「坑窯・登り窯」という煙の出口を小さく絞ってCO濃度を高められる窯になります。
「酸化焼成」と「還元焼成」では、焼き物の素地や上にかける釉薬の色味が大きく変わってくるというのが最大の違いでしょう。
陶器(焼き物)の素地のカラーは一般に赤茶色が多いのですが、これを灰色にしたいのであれば「還元焼成」を行う必要があるのです。
まとめ
「酸化焼成」と「還元焼成」の違いについて説明しましたがいかがでしたか?「酸化焼成」と「還元焼成」の違いを詳しく学習したい場合は、この記事の記述内容を参考にしてみてください。