石灰石と石灰岩は名前がよく似ています。
同じものと思っている人も多いと思いますが、石灰石と石灰岩にはどのような違いがあるのかを紹介します。
石灰石とは?
石灰石は、方解石や霰石といった鉱物の集合体の岩石のことをいいます。
炭酸カルシウムを主成分としています。
石灰岩と同じものですが、資源として鉱業に用いる場合には鉱石名である石灰石と呼びます。
石灰石は古くから世界中で活用されてきました。
紀元前に作られたエジプトのピラミッドには石灰石が使われていますし、ローマやギリシャにある神殿にも石灰石が使われています。
日本の家に使われる漆喰も石灰石を原料とした建築素材です。
伝統的な日本家屋が少なくなったことで漆喰も使われることは少なくなりましたが、近年は日本の風土に合った素材として再び注目されるようになりました。
調湿性に優れていたり、アレルギーが起きにくいという特徴があるからです。
現在でも石灰石は、幅広い分野で利用されています。
鉄鋼業や化学工業、セメント工業、土木建築、ガラス工業、農業、畜産、医療、公害防止など様々です。
石灰石をそのまま使用するわけではなく、石灰石から作られた素材が使われています。
大きく分けると生石灰(酸化カルシウム)と消石灰(水酸化カルシウム)があります。
原料となる石灰石の成分や焼成方法により特性が大きく変わるのです。
石灰岩とは?
石灰岩は、方解石や霰石など炭酸カルシウムを50%以上含む堆積岩のことをいいます。
炭酸カルシウムをの比率が高い程、色は白くなります。
含まれている不純物が多いと、黒っぽい色をしています。
日本では各地に石灰岩が分布しています。
代表的な例を挙げると、滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山や三重県と滋賀県にまたがる藤原岳などがあります。
これらの山は全て石灰岩でできています。
日本各地に存在していることから地下資源として大量に採掘され、有効活用されてきました。
日本の石灰岩は、広い海底火山の上にサンゴ礁が堆積して形成されたものが多いです。
純度が高く、世界的に見ても質の高い石灰石を採取することができます。
また、石灰岩は世界各地に存在していて、アルプス山脈の一部の山は石灰岩でできています。
世界最高峰の山として知られるエベレストの頂上も石灰岩です。
石灰石と石灰岩の違い
石灰石と石灰岩は全く同じものですが、学問的に見るか資源として見るかで呼び名が変わります。
学問的に見る場合には石灰岩といい、資源として見る場合には石灰石と呼んでいます。
石灰石は幅広い用途で使われる資源です。
日本は地下資源の少ない国と言われていますが、石灰石は国内で需要を全て賄うことができます。
それは日本各地に石灰岩が幅広く分布しているためで、石灰石の鉱山は300以上もあるといわれています。
まとめ
石灰石は石灰岩と同じものです。
学問的な呼び名が石灰岩で、資源として見る場合には鉱石名である石灰石と呼んでいます。