この記事では、「凄絶」と「壮絶」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている熟語を学んでいきましょう。
「凄絶」とは?
凄絶(せいぜつ)とは、言葉にあらわせないくらい酷いこと。
似たような状況を見つけるのが難しいくらい、すさまじい様子をあらわします。
残忍で驚異的であるもの、世の中にありふれていない事柄が凄絶です。
もともと凄絶の「凄」には「寒気をおぼえる」という訳があります。
背中にゾクッとした寒気が走るくらい、おどろおどろしい状況。
あり得ない環境を例えた言葉が、凄絶になります。
戦国時代の血なまぐさい戦について表現することが多く、生死をあらそう死闘を凄絶といいます。
「壮絶」とは?
壮絶(そうぜつ)とは、類を見ないくらい激しいこと。
大胆不敵で勇ましい様子をあらわします。
苦しい状況に立たされても決してひるまないこと。
勇敢に立ち向かっていく状況が壮絶です。
もともと壮絶の「壮」は「男らしさ」をあらわす言葉です。
血気盛んで、気力や活力に満ちあふれている青年をしめします。
そのため人並外れた勇ましさや活力を例えた言葉が壮絶です。
苦労した人生をあらわす表現で「壮絶な半生」や「壮絶な過去」といいます。
ひと休みとは無縁の、ストイックな道のりが壮絶です。
「凄絶」と「壮絶」の違い
どちらも「絶」が入っているため、紛らわしいです。
「凄絶」と「壮絶」の違いを、分かりやすく解説します。
・血なまぐさい「凄絶」と勇ましい「壮絶」
「凄絶」と「壮絶」は、どちらも「はなはだしい」の「絶」がはいっています。
ただ少しずつ、意味合いが異なっています。
凄絶は言葉を失うくらい、残酷な様子をあらわします。
死を匂わせるシーンで使われることが多く、孤独死したお年寄りや、戦国時代に切腹した武将の回想シーンなどで用いられます。
思わず目と耳をふさぎたくなるような、恐ろしくて生々しい状況が凄絶です。
そして壮絶とは、苦しい過去を乗り越えてきた勇気を称える言葉です。
学生時代のいじめや、借金まみれの自営業生活、下積み時代のお笑い芸人の過去をかたるシーンで用います。
凄絶が暗くておっかない言葉であるのに対して、壮絶は「勇ましさ・根性」がふくまれた堂々たる言葉です。
つらい経験をみずからの足で踏み倒して、グイグイ進んできたような、肝っ玉あふれている言葉になっています。
まとめると凄絶は、目もあてられないような酷い状況のこと。
そして壮絶が血気盛んで、勇ましい事柄です。
方向性は大きく異なっています。
まとめ
「凄絶」と「壮絶」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも「極めてすごい」という共通した意味があります。
凄絶とは耳をふさぎたくなるような、むごくておぞましい状況のこと。
血がしたたり落ちる、残酷なシーンをいいます。
そして壮絶とは、勇ましく血気盛んなこと。
苦しい状況を勢いで乗り越えてきた、勇ましい半生を語るときに使います。
違いを区別しておきましょう。