この記事では、「過去に囚われる」と「過去に捕らわれる」の違いを分かりやすく説明していきます。
「過去に囚われる」とは?
今よりも前の時点のことに引きつけられて心を奪われる、今よりも前の時点のことによって自由を奪われるといった意味です。
過去とは、今よりも前の時点をいいます。
今が2020年だとすると、2019年は今よりも前の時点なので過去になります。
今が2月1日の午前9時だとしたら、2月1日の午前8時59分は過去になります。
しかし、この言葉が意味する過去は数分前のことではなく、何か月、何年と前のことです。
囚われるには、心の自由を奪われるという意味があります。
ピアノの発表会のことで説明をします。
この人は非常にピアノが上手で、これまで何度も発表会を成功させてきました。
厳しい練習を毎日欠かさず行っていて、素晴らしい演奏を披露します。
あるときの発表会も、これまで一生懸命に練習をしてきたので、うまくできるだろうと思っていました。
しかし、実際にステージに立って演奏をはじめると、なぜだか頭が真っ白になってしまい、指が動かなくなりました。
このようなことは初めてです。
今までにない挫折感を覚え、このことがトラウマになりました。
それ以来、ピアノの舞台に立つことを怖れてしまいました。
以前にあった出来事が心を縛ってしまい、舞台に立って演奏ができなくなってしまったのです。
これは、以前に失敗をしたという過去の出来事があり、そのことが心の中に引っかかり、それから自由になれずにいるということができます。
過去のことを気にしていても、それに縛られることがなければ、舞台で演奏に立つことができるでしょう。
しかし、それができていないので、過去のことから自由になれていないといえます。
「過去に囚われる」の言葉の使い方
過去の事例や出来事などから心が自由になれていない、自由を奪われているといった場合を指して使用をします。
「過去に捕らわれる」とは?
過去に対して「捕」の漢字は使用しません。
「捕」という漢字には、とらえる、つかまえるという意味があります。
犯人や生き物をつかまえる、離れないようにしっかりとつかむといった意味です。
「捕える」ではなく「捕らわれる」とした場合は受け身になります。
過去は生物ではなく、また過去は手でつかめるものではないので、「捕らわれる」とするのは誤りです。
「過去に捕らわれる」の言葉の使い方
過去とセットで「捕」の漢字は使用しません。
「過去に囚われる」と「過去に捕らわれる」の違い
過去から自由になれないという意味では「囚」の漢字を使用して「とらわれる」とします。
「囚」は常用漢字ですが、とらえる、とらわれるは音訓表にのっていない読み方で、ひらがなで書く場合もあります。
まとめ
過去に縛られて心が自由になれないという意味では「囚」の漢字を使用します。
音訓表にのっていない読み方なので、ひらがなでも表記されます。