夏場の台風シーズン、テレビやラジオから耳にする言葉に「避難指示」があります。
その一方でテレビドラマでは一般的な「避難命令」はことのほか聞く機会が少ないのを不思議に思う方もいるでしょう。
この記事では、「避難指示」と「避難命令」の違いを分かりやすく説明していきます。
「避難指示」とは?
日本で一般的なのは各市町村の首長の判断により発令されます。
地域住民の生命や財産を脅かすような事態だと判断された時に避難を指示するものです。
近年温暖化による台風の巨大化やゲリラ豪雨発生の頻度が高まった事から発令される機会が増えた事もあり、避難情報は改善される事となりました。
「避難命令」とは?
実は日本には法律上「避難命令」という言葉はありません。
実際に私たちがその言葉を耳にするのはアメリカ合衆国が巨大ハリケーンの被害にあった時が最も多いと思われます。
2005年夏のハリケーン・カトリーナはまだ記憶に残す方も多いことでしょう。
警察や州兵が避難を強制して住民を誘導しました。
「避難指示」と「避難命令」の違い
近年ゲリラ豪雨の多発による水害や土砂災害の被害が増えた事で避難情報の違いや対象者が解りにくいとの声があがりました。
これに応え2021年5月に災害対策基本法の改正されています。
これにより警戒レベル4は避難勧告が廃止され「避難指示」に一本化されました。
これより上位のレベル5は「緊急安全確保」となりますがアメリカの「避難命令」の様な強制力はありません。
「避難指示」の実態
・『分かりやすくなった「避難指示」』
「避難指示」よりも実際に使用頻度の高い言葉だったのが避難勧告です。
字が示す通り避難するように勧める時に使用する言葉だと言っていいでしょう。
以前は同じ警戒レベル4の時に「避難指示」の前に出されていましたが解りづらいとの理由で廃止になりました。
・『指示は命令にあたる?指示の上位とは?』
指示とは指図する事であり命令に等しいと思う方も多いと思われます。
しかし実際には法的強制力はありません。
「避難指示」の上位に該当する「緊急安全確保」ではじめて許可無く設定された警戒区域内に退去が強制されます。
また無断で警戒区域に侵入した場合には災害対策基本法や現場の水防団長による水防法などの根拠法の罰則が適用。
罰金又は拘留、程度が重ければ懲役まで課せられます。
「避難命令」の実態
・『米国の「避難命令」に強制力はある?』
「避難命令」にどの程度の執行力があるのか、アメリカ合衆国の場合を検証してみましょう。
アメリカの場合は基本的に州知事が発令をしマンデタリーが示す通り、警官や州兵を用いて強制的に避難を促していきます。
例外は認められているものの、理由もなく退去しなかった場合は身柄の拘束や逮捕が現場の警官によって可能です。
・『日本の「緊急安全確保」実際は「避難命令」?』
2021年の災害対策基本法の改正により、レベル5の「緊急安全確保」が実質的に他国の「避難命令」に該当するものとなったとしていいでしょう。
各公共団体の首長が発令できるほか、「緊急安全確保」を遵守できないものについては現場の判断で根拠法により罰則を与える事が可能になりました。
まとめ
「避難指示」は避難を命令する事とも言えますが、日本の場合は法的強制力がありません。
「避難命令」は日本の法規では設定されていないため言葉自体が存在していないのが現状です。
災害対策基本法の改正により「緊急安全確保」が他国で制定されてる「避難命令」と実質同様なものとして使われるようになりました。