小さく生まれた赤ちゃんを指す言葉として「未熟児」と「低体重児」がありますが、具体的にはどのような基準で使い分けられているのでしょうか。
今回は、「未熟児」と「低体重児」の違いについて解説します。
「未熟児」とは?
「未熟児」とは、「出産予定日より早く生まれるなどの理由により身体機能が未熟な状態で産まれた子」を意味する言葉です。
「未熟児」の使い方
一般的な「未熟児」は「出生体重が2500グラム未満」の子を指します。
出生体重が2500g未満で産まれた子どもは心肺機能など全体的に体の機能が弱いことから「未熟児」としてより慎重な対応がとられます。
現在では「未熟児」というのは医学用語として使われておらず、一般用語として「平均よりも小さく産まれた体の弱い子ども」という意味でのみ用いられている言葉です。
身体機能が成熟していない「未熟児」ですがその後の成長に関しては通常体重で産まれた子どもに比べて著しく劣るということはなく、年令を重ねるにつれて身体機能も通常通りに成長していく子がほとんどです。
身長や体重のほか心肺機能や筋力なども順調に生育していくので「未熟児」として産まれながらトップアスリートとして活躍している人もいます。
「低体重児」とは?
「出生したときの体重が2500グラム未満の子」を意味する言葉です。
「低体重児」の使い方
「低体重児」は正式な医学用では「低出生体重児」といいます。
「低体重児」の中でも1500グラム未満で産まれた子を「極低出生体重児」100グラム未満で産まれた子を「超低出生体重児」と表現します。
「低体重児」という言葉は母子保健法で使われている表現です。
母子保健法では「低体重児」が産まれた場合はすみやかに都道府県などへ届け出るよう義務付けています。
体重が少ないということは体力や生命力の弱さに直結します。
体の弱い「低体重児」には適切な処置や経過観察が必要であり、法律で届け出を義務付けているのはそのような適切なサポート体制を整えるためです。
医学の進歩により一昔前であれば助からなかったような「低体重児」も現在では健康に育つようになってきています。
「未熟児」と「低体重児」の違い
「未熟児」と「低体重児」はどちらも「体重2500グラム未満で出生した子」を指す言葉です。
もともとは「未熟児」といる言葉が使われていました。
未熟という言葉には「完全ではない」という劣っている様子を表す意味合いがあることから体重が少ないながらも懸命に生まれてきた赤子をおとしめる貶めるようなニュアンスがあるのではないかという声が上がったことにより新たな名称として誕生した言葉が「低体重児」です。
体重が低いという事実だけを示している「低体重児」という言葉は子どもを小さく産んでしまったと自分を責める母親の心情に寄りそった呼び方です。
「未熟児」の例文
・『産まれたときは未熟児だったが今では体重100キロを超えている』
・『未熟児として産まれたが懸命な看護のおかげで無事に退院出来だ』
「低体重児」の例文
・『母親が低体重だと低体重児が生まれる確率も高くなるといわれている』
・『早産は低体重児のリスクが高くなる』
まとめ
「未熟児」と「低体重児」はどちらも小さく生まれた子供をあらわす言葉です。
同じものを指す言葉でも時代の移り変わりや社会環境によって呼び方が変わることはよくあります。
言葉の意味だけでなく成立までに至る歴史を知ることが正しい理解への第一歩です。