この記事では、「追捕使」と「押領使」の違いを分かりやすく説明していきます。
「追捕使」とは?
追捕使は、ついぶしという読み方をする言葉です。
文字で記されたこの言葉を目にすれば一目瞭然な事ですが、罪人や賊等を追い掛けて捕らえる事といった意味のある追捕の文字に、つかいやししゃという意味の使の文字を加える事で誕生した言葉となっています。
だからこそ追捕使は、平安時代に治安を乱す者の逮捕、鎮圧を任された官を表すのです。
「追捕使」の言葉の使い方
追捕使は、日本の律令制下で活躍していた、警察や軍事的な官職となっています。
元々は臨時の官職として設けられたものの、後に諸国で常設される様になったのです。
最初に設置されたのは932年で、海賊や凶賊を掃討するのが目的でした。
なので実際に戦闘にあたる事が多い役職であり、国内の治安維持のために国司や地方豪族をこの追捕使に任命する様になり、各地で常設される様になったのです。
「押領使」とは?
押領使は、おうりょうしという読み方をすべき言葉となっています。
漢字で書かれたこの言葉を見れば理解出来る事でしょうが、兵を監督し統率するとか他人の物や所領等を奪い取るといった意味を持つ横領の漢字に、差し向けて用をさせるや用をする人といった意味を有する使の漢字を付け足す事で成立した言葉です。
だからこそ押領使は、平安時代に兵を使って反乱の鎮圧等を行っていた令外の官を示します。
「押領使」の言葉の使い方
押領使は、日本の律令制の元で警察や軍事的な役割を担っていた律令の制定にない令外官の1つを示す言葉として用いられているのです。
平安時代の初期頃に誕生し、東日本に設置されて地域に密着する形で治安維持に努めていた令外の官を表現していました。
基本としては国司や郡司の中で特に武芸に優れていた者が兼務し、地方警察の様な役割を担っていたのです。
「追捕使」と「押領使」の違い
追捕使と押領使の文字表記を見比べてみれば、追捕と押領という漢字の違いを発見する事が出来ます。
所がその後に続くのは、同じ使の漢字であり、共に警察的な役目を負う役職を表す言葉です。
とはいえ漢字の違いが明確にある事で、表現する意味合いには違いを見付ける事が出来ます。
まず追捕使は、平安中期頃に置かれ西日本側に配置された警察や軍事的な役割を担う官を表す言葉です。
一方の押領使は、平安初期頃に東日本に置かれて、軍事的かつ警察的な役割を果たしていた令外官を示します。
まとめ
2つの言葉はどちらも、最後に使の漢字が使用されており、かつて治安維持を目的として警察的な役割を担っていた役職を意味する言葉同士です。
ただし最初の2文字の漢字が違っている事で、示す意味にも相違点を見出す事が可能です。
ちなみに追捕使は、平安時代中期頃に治安を乱す者の逮捕や鎮圧を目的に設置された、官を表す言葉として使用されています。
対する押領使は、平安時代に兵を率いる事で反乱等を鎮圧していた、令外の官に対して用いるべき言葉です。