この記事では、「土師器」と「須恵器」の違いを分かりやすく説明していきます。
2つの言葉には、どのような意味と違いがあるでしょうか。
「土師器」とは?
「土師器」は「はじき」と読みます。
「土師器」は、「古墳時代から平安時代にかけて用いられた、素焼きの土器のこと」という意味があります。
「土師器」は、赤褐色か黄褐色で、文様がありません。
「土師器」の多くは、ろくろ、窯を用いずに焼成されています。
食料の煮炊き用、また食器として使われていました。
5世紀以降は、「須恵器」と併用されています。
「土師器」という名前は、「土師部(はじべ)」が焼いたことが由来となっています。
「土師部は、古代の部曲の一つで、土器や埴輪を作り、葬儀の仕事にも従事しています。
ちなみに「部曲(かきべ)」は、律令制以前における、豪族の私有民で、それぞれ職業を持ち、蘇我氏の私有民は「蘇我部」、と大伴家の私有民は「大伴部」と呼ばれていました。
そのため、「土師部」は、「土師氏の私有民」を意味します。
このように「土師器」は、古墳時代から平安時代にかけて使われていた素焼きの土器のことで、土師氏の私有民によって作られたものを指します。
「須恵器」とは?
「須恵器」は「すえき」と読みます。
「須恵器」は、「日本古代の灰色の硬質土器のこと」という意味があります。
「須恵器」は「土師器」とは違い、一部にろくろを利用しており、また穴窯を用いて1200度くらいの高温で焼いています。
また、「須恵器」は青灰色をしていました。
「須恵器」は朝鮮半島から到来した技術によって、5世紀に誕生しており、平安時代まで使われていました。
「土師器」と「須恵器」の違い
「土師器」と「須恵器」の違いを、分かりやすく解説します。
「土師器」は、「古墳時代から平安時代にかけて用いられた、素焼きの土器のこと」という意味があります。
一方で「須恵器」は、「日本古代の灰色の硬質土器のこと」という意味があります。
このように、「土師器」も「須恵器」も、土器を意味し、平安時代まで使われていたという共通点があります。
ただし、「土師器」は、古墳時代から使われているため、「須恵器」よりも古い時代に誕生しているという違いがあります。
また「土師器」はろくろ、窯を使っていないのに対して、「須恵器」はろくろ、窯を使っているという違いがあります。
またその結果、「土師器」に比べて「須恵器」は、硬質だという違いもあります。
さらに「土師器」は赤褐色か黄褐色をしているのに対して、「須恵器」は青灰色をしているという違いもあります。
まとめ
「土師器」と「須恵器」の違いについて見てきました。
2つの言葉には明確な意味の違いがありました。
2つの言葉の違いを知ることで、古代の日本で使われていた土器について詳しくなるかもしれません。