経済学で登場する用語「絶対優位」と「比較優位」都などのような意味で使われる言葉なのでしょうか。
今回は、「絶対優位」と「比較優位」の違いについて解説します。
「絶対優位」とは?
「絶対優位」とは、「ある国が特定の財に関して他国よりも常に低いコストで生産できる状態」を意味する言葉です。
複数のものを比較したとき有利であることや勝っている状態を表す言葉が「優位」です。
「絶対優位」の本来の意味は「どんな条件であろうとも常に有利である状態」を指します。
経済学では「絶対優位」という言葉を国同士の生産力に対して使います。
特定の財を生産するためにはコストが掛かりるので原材料費や人件費、製造設備費など全てのコストを含めたものに利益を乗せることで販売価格が決定しますが、自由競争市場では製造コストが低ければ低いほど有利です。
製造コストが低ければ同じ利益を載せて販売価格を決定しても競争相手より安く販売できるので売れ行きは上がります。
「絶対優位」という言葉は貿易や国際競走モデルで使われる言葉で「条件にかかわらず他国に比べて常に製造コストが安く競争上有利である状態」を指します。
「絶対優位」モデルでは各国がそれぞれ「絶対優位」にある分野に注力することで資源の最適配分が実現し人々が得られる幸福の量が最大化されるとしています。
得意な分野にだけ集中し苦手な分野は他国から輸入したり外注したりするのが「絶対優位」モデルの描く世界です。
「比較優位」とは?
「比較優位」とは、「ある国に置いて相対的に低いコストで生産できる分野状態」を意味する言葉です。
ある国の生産力はさまざまな要件によって決まります。
生産される剤も一種類ではなく得意なもの不得意なものがありますが「生産される剤の中でも比較的低コストで生産できるもの」の状態を表す言葉が「比較優位」です。
コストの掛かる苦手な分野よりも低いコストで生産できる得意な分野に集中したほうが投下した資本に対する生産量は上がります。
「比較優位」モデルでは比較的コストの低い分野にそれぞれの国が集中することで互いに高品質低コストな財とサービスを享受できると考えます。
「絶対優位」と「比較優位」の違い
「絶対優位」旗国と比べたときの優位性を指すのに対し「比較優位」は自国内において比較的低いコストで生産できる財の優位性を指します。
A国では麦10キロを生産するのに10ドル大豆10キロを生産するのに5ドルかかり、B国では麦10キロを生産するのに15ドル大豆10キロを生産するのに20ドルかかると仮定します。
このようなケースでA国とB国を比べると麦も大豆もA国のほうが低いコストで生産可能なので貿易関係においては「絶対優位」です。
B国は麦も大豆もA国より高いコストが掛かりますがB国内の生産物同士で比べると大豆よりも麦のほうが低いコストで生産できるので大豆が「比較優位」にあるといえます。
「絶対優位」モデルでは麦も大豆もA国が生産することで最適化が実現します。
「比較優位」ではそれぞれの国が比較的有利なコストで生産できる財に集中するのでA国は大豆と比べてコストが5ドル安い大豆の生産に集中し、B国は大豆と比べて5ドルコストが安い麦の生産に集中することで最適化が達成されます。
まとめ
「絶対優位」と「比較優位」では比べている対象が異なります。
何が何に対して優位なのかをきちんと理解しておかないと言葉の意味を取り違える恐れがあります。
難しい意味ではないので正確に覚えておきましょう。