安全保障に関わる言葉に「重要影響事態」と「存立危機事態」があります。
このふたつの言葉はどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「重要影響事態」と「存立危機事態」の違いについて解説します。
「重要影響事態」とは?
「重要影響事態」とは、「日本の平和と安全に対し重要な影響を与える事態」を意味する言葉です。
日本の平和と安全には周辺各国の状況が強く影響します。
日本が平和であっても近くの国で紛争が起きたり戦争準備が進められたりすれば将来的に日本に何らかの影響が及ぶと懸念されます。
「重要影響事態」とは、「日本に関わりのある国や地域で日本の平和と安全に対して大きな影響を与えかねない状況が起きること」を表す言葉です。
「重要影響事態」は影響が懸念される段階なので具体的な影響はまだ発生していませんが、放置して状況が深刻化すれば高い確率で日本の平和と安全が脅かされます。
日本としては影響が及ぶ前に対処する必要が有るため「重要影響事態」とみなされた段階で対抗措置や準備を進めることができます。
具体的には他国軍に供給される武器弾薬の輸送や基地の提供、航空機への燃料補給など直接的な武力行使を伴わない範囲であれば大規模な後方支援活動が認められます。
「存立危機事態」とは?
「存立危機事態」とは、「日本が存続の危機に立たされる事態」を意味する言葉です。
ある国が国として成立するためには各国と平和的な関係を維持する必要があります。
日本も諸外国の多くとは平和的な関係を築いていますが、平和条約を結んでいる友好国や同盟国感ではお互いの存続が国のあり方に強く影響を及ぼします。
友好国や同盟国が他国から武力行使を受けたり侵略されたりした場合、その矛先が日本に向く可能性は十分に考えられます。
もしそのような事態になれば日本が侵略され国としての村立が危ぶまれてしまいます。
このように友好国が攻撃を受けたり周辺諸国型国軍に侵略されたりなど「放置すれば日本も同様の被害にあう可能性が高く国としての存立が危機に立たされている事態」が「存立危機事態」です。
「存立危機事態」は国があり続けるかどうかの瀬戸際に立たされている状況です。
平和と安全が深刻に脅かされている状況なのでやむを得ない範囲であれば必要最小限の武力行使による自衛が認められます。
直接的に日本が攻撃を受けていなくても友好国や同盟国の被害を持って自衛権を認める集団的自衛権も限定的に可能であると解釈されています。
「重要影響事態」と「存立危機事態」の違い
「重要影響事態」と「存立危機事態」の違いは「危機の深刻度」です。
「重要影響事態」は日本の平和と安全に重要影響が懸念される状態を指すのに対し「存立危機事態」は日本の存続に関わる事態であり危機の程度はより深刻です。
他国の支援は認められるが武力行使はできないのが「重要影響事態」、限定的に武力行使が認められるのが「存立危機事態」という違いでも区別されます。
まとめ
「重要影響事態」と「存立危機事態」は平和憲法を持つ日本独自の安全保障概念です。
危機の度合いによって認められる活動内容が異なるのでそれぞれの正確な内容を理解しておきましょう。