「猿楽」と「田楽」の違いとは?分かりやすく解釈

「猿楽」と「田楽」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「猿楽」「田楽」の違いを分かりやすく説明していきます。

2つの言葉には、どのような意味と違いがあるでしょうか。

「猿楽」とは?

「猿楽」「さるがく」と読みます。

「猿楽」は、「日本の伝統芸能で、能のこと」という意味があります。

「猿楽」は室町時代に成立し、江戸時代まで「能」は、「猿楽」と呼ばれていました。

現在のように、狂言とともに、「能楽」と呼ばれるようになったのは、明治以降のことです。

中国・唐から伝来した、「散楽(さんがく)」が由来と考えられています。

「散楽」は、軽業や曲芸、奇術やものまねなどの演芸で、初期は宮廷に保護されていましたが、一般に親しまれるようになり、民俗芸能の基盤となっていきます。

この「散楽」に日本古来の滑稽な技が加わり、御神楽の夜などに、余興で演じられました。

のちに寺社に所属する、職業芸能人・「猿楽法師」が、祭礼などの際に芸を披露するようになります。

さらに中世以降、「猿楽」は演劇化して、「能」「狂言」が成立し、併せて「能楽」と呼ばれるようになっています。

このように、「猿楽」「能」のことで、江戸時代までの呼び名を指す言葉になります。


「田楽」とは?

「田楽」「でんがく」と読みます。

「田楽」は、「民間の農耕芸能から出て、平安時代に遊芸化された芸能のこと」という意味があります。

田植えの時の、田の神様を祀って、歌い舞ったのが原型とされています。

ちなみに「田の神様」とは、春に里を下り田の神になり、秋には山に帰って山の神になる神様のことを指しました。

「田楽」は、鎌倉時代から、室町時代に流行し、専業の「田楽法師」も登場します。

「田楽法師(でんがくほうし)」は、「田楽」を演じることを専門の仕事とした僧侶の姿をした芸人のことです。

「田楽法師」は鼓や、笛、ささらなどを演奏しながら舞う「田楽踊り」をしたり、「散楽」から生まれた曲芸や、「猿楽」やモノマネなども演じました。


「猿楽」と「田楽」の違い

「猿楽」「田楽」の違いを、分かりやすく解説します。

「猿楽」は、「日本の伝統芸能で、能のこと」という意味があります。

「田楽」は、「民間の農耕芸能から出て、平安時代に遊芸化された芸能のこと」という意味があります。

このように、「猿楽」「田楽」も、どちらも日本の伝統芸能を意味します。

ただし、「猿楽」「能」の原型で、「田楽」は、「田植え踊り」などの伝統芸能の原型となっています。

また「猿楽」は、唐から伝わった「散楽」がルーツで宮廷で保護されていましたが、「田楽」は、農民が田植えをするときに歌い踊ったものがルーツとなっているという違いがあります。

まとめ

「猿楽」「田楽」の違いについて見てきました。

2つの言葉には、明確な意味の違いがありました。

2つの意味の違いを知ることで、伝統芸能についての知識が深まるかもしれません。