グローバリゼーションで使われる言葉に「異文化共生」と「多文化共生」があります。
よく似た意味に思えますがどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「異文化共生」と「多文化共生」の違いについて解説します。
「異文化共生」とは?
「異文化共生」とは、「異なる文化を持つ者同士が互いの存在を尊重しながら良好な関係を築く努力を続け共に生きていくこと」を意味する言葉です。
特定の地域に暮らす人に共通して見られる考え方や行動習慣をさして「文化」と表現します。
文化はその集団にとって深く根付くものでありアイデンティティにも強く影響する大切なものです。
異なる文化同士が出会った場合有効な関係が結ばれることもありますが考え方の違いにより文化同士で対立が起きたり争いが発生したりこともあります。
「異文化共生」とは「異なる文化を持つ者同士がひとつの場所で争うことなく共に生きてこうという考え方」を意味する言葉です。
文化の違いは相互理解のすれ違い要因になります。
ある文化にとっては大切な習慣が他の文化にとってはとるに足りないものだったり迷惑だったりすることは珍しくありません。
そのような場合感情的な対立や争いの種になりかねませんが「異文化共生」の考え方では大切な習慣なのだからと批判に耳を貸さず押し通すわけでもなく迷惑だからやめろと潰そうとするでもなく、互いが互いを思いやり双方にとって納得のいく落とし所を探します。
異なる文化を互いが尊重し譲り合いながら社会を築き上げていこうという考え方が「異文化共生」の目指すところです。
「多文化共生」とは?
「多文化共生」とは、「さまざまな文化を持つ者同士がお互いの存在を認め合いながら共に生きていくこと」を意味する言葉です。
文化は時として人の争いを生み出す火種になりますが、本来文化というものは違いがあるからこそ価値が認められています。
もし人類が全て同じ文化を共有していれば争いは起きませんがその代わりに発展も進歩も今よりずっと遅いスピードでしか進みません。
文化の違いこそが刺激となり新しい発見や成長へとつなげる力に変えることで人間が今の段階まで文化を進めてきた原動力としてきました。
「多文化共生」とは「文化的衝突を乗り越えて異なる文化を持つ者達がひとつの場所で共に暮らしていこうという考え方」を指します。
違いを違いとして受け入れるだけでなく違うのがあたりまえだと皆が自然に考える状態が「多文化共生」の理想型です。
「異文化共生」と「多文化共生」の違い
「異文化共生」と「多文化共生」はどちらも違う文化を持つ人同士が共に生きていくことを意味すること場ですが「異文化共生」が2つの文化を持つ人同士が共に生きていくことを表すのに対し「多文化共生」は3つ以上の文化を持つ人達がひとつの場所で共に生きていく様子を指します。
まとめ
「異文化共生」と「多文化共生」は非常によく似た意味を持つ言葉です。
厳密に使い分けず同じ意味で使われることも多いのですが、本来は対象とする文化の数により使い分けます。
グローバル化社会では重要なキーワードになるので意味を覚えておきましょう。