今ではすっかり定番になった『ブラックミュージック』ですが、まだまだ馴染みが薄い言葉も存在するのが事実です。
今回は初歩の単語でありながら混同しがちな2つをご紹介したいと思います。
この記事では「ラップ」と「ヒップホップ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ラップ」とは
これは『韻を踏んでリズミカルに歌詞を歌い上げる手法』です。
英語では『Rap』と書きます。
意味や音が近い言葉を組み合わせて何かの主張や相手のことを挑発するような歌詞が多いのが特徴の1970年代にニューヨークで発生したとされるものです。
当時ニューヨークではギャング集団の抗争がとても多く、死者も多数発生し、治安も著しく悪くなるという状況でした。
そこで出来るだけ暴力沙汰を無くそうという取り組みから『ラップ』ができたとされています。
これは『ブレイクダンス』成立の由来にも非常に近いものを感じませんでしょうか。
バックグラウンドに相手への攻撃がある為、歌詞はとても刺激的で攻撃的なものです。
しかしながらただ悪口を言うだけではなく、芸術性についても注目するというところに特徴があります。
今では歌として歌詞を作ることもありますが、フリースタイルという形でも『ラップ』は存在しています。
これは前準備なくその場で『ラップ』を組み上げるというとても難易度の高いものであり、日本でも有名な『エミネム』などはこの『フリースタイル』の技術を高める為になんと英単語の辞書を全て読みつくしたという逸話も残っています。
「ヒップホップ」とは
これは『音楽スタイルの一つで、リズムを重要視して楽器やダンスを行うこと』を表します。
英語では『Hip-hop』と綴ります。
もっと厳密に定義をすると、『ニューヨークの路上で発生した音楽やダンスだけでなく、ファッションを中心とする黒人文化』で先ほど挙げた『ブレイクダンス』もこの『ヒップホップ』の一つです。
しかしながら現在では『音楽スタイル』という意味で使われるのが主流です。
もともとは貧しい若者達が集まり、壁や地下鉄に落書きをしたり、ラジカセを一つ持って音楽を聴きながら踊ることから始まったとされています。
これを『ブロックパーティー』と呼びあまり柄のいいものではありませんでしたが、その数十年後に大きな文化を作り上げることになります。
『ヒップホップ』の音楽は上記の理由から厳密な定義はありませんが、リズムを重視する為、重低音や心地のいいメロディーを繰り返すのも特徴です。
「ラップ」と「ヒップホップ」の違い
この二つは『歌唱法』か『スタイルや文化』かという違いではっきりと分けることができます。
もう少し違う見方をすると、『ラップ』は『ヒップホップ』という文化の一ジャンルであるという定義をすることもできます。
この文化という意味を改めて意識すると『ヒップホップミュージック』や『ヒップホップスタイル』、『ヒップホップダンス』という言葉がなぜ出来上がったのかイメージが湧きませんでしょうか。
まとめ
如何でしたでしょうか。
今回は黒人文化の中でも混同してしまいがちな『ラップ』と『ヒップホップ』について見てきました。
成り立ちはあまり上品ではないですが、今では大きなアメリカ文化の一つとして世界に魅力を発信し続けています。
この様な背景を見ると、一見野蛮で理解できないことにも何等かのメリットや魅力を見出すことが出来るという人間の可能性を感じることはできませんでしょうか。