「黙示」と「啓示」と「天啓」
いずれも宗教的なニュアンスを含んでいるように感じますが、何か違いはあるのでしょうか?
この記事では、「黙示」と「啓示」と「天啓」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「黙示」の意味とは?
「黙示」は、「もくし」、もしくは「もくじ」と読み、「暗黙のうちに意思や考えを示すこと」を意味する言葉です。
宗教における「黙示」
「黙示」という言葉はユダヤ教やキリスト教、イスラム教でも用いられています。
その場合は「もくし」と読み、「もくじ」とは読みません。
宗教における「黙示」は、おもに「神が特別な力で真理や神意を人に示すこと」「神が選ばれた預言者に与えたとされる秘密の暴露」を意味し、「アポカリプス」=“apocalypse”とも呼ばれます。
「黙示」という言葉は、新約聖書の一書「ヨハネの黙示録」の章タイトルに使われている「apokalupsis」というギリシア語に由来します。
「啓示」の意味とは?
「啓示」は、「けいじ」と読み、「よくわかるように示すこと」を意味する言葉です。
「啓」という字は「啓(ひら)く」とも書き、「ひらく」、「あける」という意味のほか、「教え導く」という意味もあります。
「○○を啓示する」と用いられることが多いようです。
宗教における「啓示」
キリスト教では、「神により、真理や神意が人に示されること」を「啓示」と言い、英語では“revelation”と訳されます。
後述する「天啓」と同義語である他、先述した「黙示」と同じ意味とする解釈もあるようです。
宗教において「啓示」とは「神から与えられるもの」であるため、「(神から)啓示を受ける」や「(神から)啓示を授かる」と表現されます。
「天啓」の意味とは?
「天啓」は、「てんけい」と読み、「天(=神)の教え」や「天(=神)の導き」、「神のお告げ」を意味する言葉です。
文字通り「天からの啓示(=教え導き)」を表しており、先述した宗教における「啓示」と同義語として扱われています。
そこから転じて、「すごいアイデア」や「起死回生の一手」など、「素晴らしい閃き」を「神のお告げ」になぞらて「天啓」と表現する場合もあります。
慣用句として「天啓に打たれる」や「天啓を得る」と用いられることが一般的です。
まとめ
・「黙示」とは、「暗黙のうちに意思や考えを示すこと」を意味する言葉です。
宗教では、「神が特別な力で真理や神意を人に示すこと」、「神が選ばれた預言者に与えたとされる秘密の暴露」を意味します。
・「啓示」とは、「よくわかるように示すこと」を意味する言葉です。
宗教では、「神により、真理や神意が人に示されること」を意味します。
・「天啓」とは、「天(=神)の教え」や「天(=神)の導き」、「神のお告げ」を意味する言葉であり、宗教的意味合いの「啓示」と同義語になります。
そこから転じて、「素晴らしい閃き」の比喩的表現として「天啓」が用いられています。