上下関係や序列などを表すときに見聞きする「ヒエラルキー」・「ハイアラーキー」・「カースト」ですが、どんな違いがあるのでしょうか?
この記事では、「ヒエラルキー」と「ハイアラーキー」と「カースト」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「ヒエラルキー」の意味とは?
「ヒエラルキー」とは、「階級制」や「階層制」を意味し、頂点から下にいくほど末広がりになっていく、ピラミッド型の組織構造のことを指します。
上層階級になるほど枠の数が少なくなる反面、「力」や「権力」が強くなっていき、逆に下層階級になるほど枠の数も大きくなっていく反面、「力」や「権力」が弱くなっていくのが特徴です。
「ヒエラルキー」の語源はドイツ語の「Hierarchie」(ヒエラルヒー)であり、もともとは宗教団体における聖霊の順位や聖職者の序列を指して用いられていました。
そこから転じて、現代でも企業における組織構造や序列を表すときに「ヒエラルキー」が用いられています。
例として、企業における「ヒエラルキー」では一般的に、最上位に「社長」が位置し、そこから下へ「専務」→「常務」→「部長」→「課長」→「係長」→「一般社員」と並んでいきます。
「ハイアラーキー」の意味とは?
「ハイアラーキー」とは、先述した「ヒエラルキー」を英語の発音に寄せてカタカナ表記にしたものです。
ドイツ語の「Hierarchie」に由来する「ヒエラルキー」は、英語では“hierarchy”と書き、「ハイアラーキー」と発音します。
「カースト」の意味とは?
「カースト」=“Caste”とは、「ヒンドゥー教における身分制度」を指す言葉です。
「カースト」はポルトガル語で「血統」を意味する「Casta」に由来しており、インドでは「ヴァルナとジャーティ」と呼ばれています。
「カースト」による身分制度も「ヒエラルキー」のようなピラミッド型の組織構造を持っており、最上位に「バラモン」=「司祭」が位置し、そこから下へ「クシャトリア」=「王族・戦士」、「ヴァイシャ」=「市民」、「シュードラ」=「奴隷民」と並んでいき、さらにその下に4つの身分から外れた「不可触民」とされる被差別民の人たちがいます。
この差別的な身分制度になぞらえて、近年、日本でも学校の生徒間やママ友間など、ある集団における身分の上下を比喩して「○○カースト」という表現が使われているようです。
例として、学校の生徒間における「スクールカースト」では、一般的に上位にいわゆる陽キャグループが位置し、普通グループをはさんで下位に陰キャグループが並べられます。
ママ友間における「ママカースト」では、夫の社会的地位や年収が高いほど上位に位置し、低いほど下位に位置するとされています。
まとめ
「ヒエラルキー」は「階級制」や「階層制」を意味する言葉であり、ドイツ語の「Hierarchie」に由来する言葉です。
「ハイアラーキー」は「ヒエラルキー」=“hierarchy”を英語の発音に寄せてカタカナ表記にしたものであり、「ヒエラルキー」の同義語になります。
一方、「カースト」は「ヒンドゥー教における身分制度」を意味します。
いずれもピラミッド型の組織構造を表しており、近年、日本でも組織構造や権力構造を表すときに用いられるようになった言葉です。
ただし、「ヒエラルキー」が組織内の単なる「階級」や「階層」を表すときにも用いられるのに比べて、「カースト」は組織内における差別的な上下関係や格差、序列など、よりネガティブな意味合いで用いられることが多いようです。