「テロ」と「紛争」と「戦争」の違いとは?分かりやすく解釈

「テロ」と「紛争」と「戦争」の違い生活・教育

人同士の争いを意味する言葉に「テロ」「紛争」「戦争」があります。

国際情勢を伝えるニュースなどで使われる表現ですがどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「テロ」「紛争」「戦争」の違いについて解説します。

「テロ」とは?

「テロ」とは、「政治的な目的を達成するために行われる理不尽な暴力行為」を意味する言葉です。

「テロ」「テロリズム」の略語です。

テロリズムとは「政治目的の暴力や脅迫」を意味する言葉で一般的には「戦闘員非戦闘員を問わず攻撃を加える事で恐怖を与えル政治目的の強迫行為」を指します。

本来の「テロ」は自らの政治闘争を有利に進めるための手段としての暴力を意味していましたが、近年は反体制や反抗など「特に政治性が見られない個人的な主義主張に基づいて行われる理不尽な暴力行為」「テロ」に含まれます。

政治主張や宗教、イデオロギーなど特定の考えに強烈に取りつかれたものたちが正しい選択と信じて行われる暴力行為が「テロ」なので対策は非常にやっかいです。

特定の組織や集団によって行われる「テロ」もありますが思想や宗教などに基づきバラバラの組織や個人によって行われることも多く、根絶するのは非常に困難です。


「テロ」の例文

・『テロに備えて厳戒態勢がとられる』
・『自動車爆発はテロによる攻撃だと発表があった』


「紛争」とは?

「紛争」とは、「事なる勢力間による争い」を意味する言葉です。

一般的に「紛争」という表現は比較的規模が小さく限定的な争いに用いられます。

戦闘地域が局地的だったり勢力の規模が大きくなかったり戦火が拡大していなかったりなど大規模な争いにまで発展していないような戦いが「紛争」にあたります。

「紛争」では直接的な戦闘や侵略行為のほか略奪や情報統制など平和を脅かすあらゆる活動が行われます。

そのような不法行為を取り締まるものもおらず強いもののなすがままになってしまっている状態が「紛争」であり無秩序で危険な状況を表しています。

「紛争」の例文

・『中東で紛争が発生した』
・『長引く紛争の影響で深刻な物資不足が発生している』

「戦争」とは

「戦争」とは、「国家間で行われる武力を用いた争い」を意味する言葉です。

「戦争」という表現は「国家間の武力衝突」に対して用いられます。

比喩的な表現として「経済戦争」「技術戦争」など利害関係のある物同士による激しい戦いを指すこともありますが、「戦争」という表現には必ず武力行使が伴います。

どんなに対立が深まっていても直接的な武力行使が見られない場合は「戦争」ではありません。

一般的にはどちらかの国家による宣戦布告により「戦争」がはじまり降伏宣言によって終決するのが本来の手続きですが、近年は正式な宣戦布告や降伏宣言がない「戦争」も見られます。

「戦争」の主体となるのは国家によって編成された国軍ですが軍縮傾向が世界的に見られる現代では民間軍事会社と呼ばれる民間の戦力が参加するケースが増えています。

「戦争」の例文

・『一方的な宣戦布告により戦争が始まってしまった』
・『戦争が始まる前に国外に脱出しようという人々で空港はごった返している』

「テロ」と「紛争」と「戦争」の違い

「テロ」「紛争」「戦争」の違いは「主体」です。

「テロ」は個人や小規模な集団による国家や主流思想に対する攻撃を意味する言葉です。

小さな勢力が大きな勢力に対し一方的にしかける暴力が「テロ」でありそれに対抗する国家の活動は「対テロ活動」と呼ばれ非対称性が存在します。

「紛争」はある程度まとまった勢力同士によって行われる暴力を含む争いを指します。

部族や民族、宗教や血縁など規模はさまざまですが国家よりも規模の小さい主体による争いが「紛争」です。

「戦争」は国家もしくは国家に近い規模が主体となる武力を伴う争いを指す言葉です。

まとめ

「テロ」「紛争」「戦争」は主体と規模によって区別されます。

世界に争いの火種が広がる中で境界があいまいになっている部分もありますが報道などでは明確に区別されている表現なのでそれぞれの意味を理解しておきましょう。