この記事では、「渡る」と「亘る」と「渉る」の違いを分かりやすく説明していきます。
見た目が似ている言葉を、区別していきましょう。
「渡る」とは?
渡る(わたる)とは、こちら側から向こう側へ行くこと。
ある場所から、ある場所へ進むことです。
例を挙げると「大きな橋を渡る」や「舟で川を渡る」そして「横断歩道を渡る」といいます。
何かを通り抜けていくこと、抜け出ていく動作が「渡る」になります。
もともと「渡る」という漢字は、渡し舟から生まれた語句です。
道路がまだよく整備されていなかった時代に、こちらの岸と川をはさんだ向こうの岸を行き来する「小舟」の動きを「渡る」と呼んでいました。
また「渡る」には「音が響き渡る」のように、空間に広がるという訳もあります。
「亘る」とは?
亘る(わたる)とは、長い時間が過ぎること。
ある時間、その状態が続いていく様子をあらわしています。
おもに移ろいゆく「時の流れ」をあらわす用語になります。
形は見えないけれども、まとまった単位として認識できるものです。
もともと「亘る」という漢字には「めぐる」という意味があります。
ぐるりと身の回りを囲っているように、永遠に流れているもの。
駆け巡っている時間が「亘る」です。
「10年に亘る」や「2年に亘る」など、具体的な年数と一緒につかいます。
「渉る」とは
渉る(わたる)とは、通り過ぎること。
または大型船やジェット機で、海外に飛び立つ様子をあらわしています。
空間を隔てているものを、飛び越えていくこと。
そうした動作を渉るといいます。
もともと「渉る」という漢字には「色々な世界を見聞きする・知識を増やす」という訳があります。
そのため留学や出張のように、何か目的があって移動することを「渉る」といいます。
視野を広げるために海外に渡航すること、知識を得るために異国の地に旅立つことが「渉る」です。
「渡る」と「亘る」と「渉る」の違い
・よく使うのは「渡る」
「渡る」と「亘る」と「渉る」はいずれも「わたる」と読みます。
そのためパソコンやスマホで文字を変換するとき、どの文字に打ち直すべきか迷ってしまいます。
3つの熟語のうち、日常生活でよく使用されているのは「渡る」。
「亘る」と「渉る」は難しい漢字が使われているので、めったにお目にかかることはありません。
「渡る」は「向こう岸に渡る」や「道路を渡る」と使うほか「音楽が響き渡る」など、音の波動もあらわせる便利な言葉です。
一方で年月が流れることは「亘る」。
留学や仕事のため海外に行くことを「渉る」といいます。
「亘る」と「渉る」は「渡る」に比べて、あまり使われない表現ですが、頭の片隅におさえておくと便利です。
まとめ
「渡る」と「亘る」と「渉る」の違いを分かりやすくお伝えしました。
いずれも「わたる」と読める漢字です。
向こう側に行くことが「渡る」。
年月が流れている様子が「亘る」。
海外に飛ぶのが「渉る」です。
日常生活で圧倒的に使用されているのは「渡る」になります。