「薄利多売」と「多売薄利」と「厚利少売」の違いとは?分かりやすく解釈

「薄利多売」と「多売薄利」と「厚利少売」の違いビジネス・就職・転職

ビジネスモデルの話題などで使われる言葉として「薄利多売」「多売薄利」「厚利少売」があります。

これらの言葉はどのような意味でどこに違いがあるのでしょうか。

今回は、「薄利多売」「多売薄利」「厚利少売」の違いについて解説します。

「薄利多売」とは?

「薄利多売」とは、「1つあたりの利益は少ないが売上を増やして大きな総利益を得ること」を意味する言葉です。

経済学において「商品価格を下げると売上が増える」というのは基本中の基本です。

一般的な学説では需要と供給のバランスが取れるところで商品価格が決定するとされますが、利益を減らしても売上を伸ばしたい時に用いられる手法が「薄利多売」です。

「薄利多売」では1つあたりの売上かられ得られる利益を減らし販売価格を値下げします。

そのままでは利益が減るだけですが「値下げにより増えた商品売上によって総利益を確保する」というのが「薄利多売」の考え方です。

価格競争として用いられるビジネス手法の一種であり値下げにより売上向上が見込まれる商品に有効です。


「薄利多売」の例文

・『薄利多売で成長してきたディスカウントストアだが経営危機に追い込まれてしまった』
・『高級ブランド品の販売戦略に薄利多売は不向きである』


「多売薄利」とは?

「多売薄利」とは、「たくさん売っても利益が少ないこと」を意味する言葉です。

競争のために利益を減らして値下げした結果として陥りがちな「売上は伸びたが利益は上がらない状態」を指して「多売薄利」と表現します。

企業にとって売上が増えるのは喜ばしいことですが売上増が喜ばしいのは利益の増加が見込まれるからです。

極端に利益を削りすぎてしまい売上が伸びてもほとんど利益が増えない状態は企業にとって大きな負担となります。

利益の薄い商品がたくさん売れることで別の商品が売れなくなったり商品を求める顧客対応に多くの経費がかかったりなど「本来は喜ばしいはずの売上増が薄い利益のせいでマイナスの影響を及ぼしてしまっている状態」を指して「多売薄利」と表現します。

「多売薄利」の例文

・『大ヒットしたのに一向に儲からない多売薄利に陥ってしまった』
・『多売薄利で経費負担ばかり増えるとなったら売れば売るほど赤字になってしまう』

「厚利少売」とは

「厚利少売」とは、「商品1つあたりの利益が高く少ない売上でも十分な利益が上がること」を意味する言葉です。

商品は売れれば売れるほど良いというものではなく商品単価を上げて供給数を減らすこともあります。

そのような「利益率の高い商品を少なく売るビジネスモデル」「厚利少売」です。

「厚利少売」で利益を確保できるのは単価が高く希少性が付加価値につながる高級ブランド品などです。

「厚利少売」の例文

・『厚利少売なので売上が少なくてもビジネスが成り立っている』
・『デザインや品質などを高めて厚利少売へのビジネスモデル転換をめざす』

「薄利多売」と「多売薄利」と「厚利少売」の違い

「薄利多売」「厚利少売」は商売のやり方を意味するビジネスモデルを表す言葉で、「薄い利益で多く売る」「熱い利益で少なく売る」という正反対の意味を持つ対義語です。

「多売薄利」というのは「薄利多売」の結果として陥った「たくさん売っても儲からない」というネガティブな状況を指す言葉です。

まとめ

「薄利多売」「多売薄利」「厚利少売」はビジネス関連で登場する言葉です。

それぞれがどんな意味を指すのか知っておきましょう。