この記事では、「漠然」と「曖昧」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「漠然」と「曖昧」の違い
「漠然」とは、はっきりとしないさま、広くてはてしないさまのことです。
「曖昧」とは、物事や態度がはっきりしないこと、またそのさまのことです。
どちらの言葉にも、「はっきりしない」という意味が含まれており、この点は同じです。
「曖昧」は物事や態度などについての、はっきりしないことです。
本人自身がはっきりわかっていないためにはっきりしない意味も、意識的にはっきりさせない意味も含まれています。
「漠然」は、なんとなくそれらしいとはわかっているけれど、いまひとつはっきりしない意味合いがあります。
「漠然」と「曖昧」の使い方の違い
どちらの言葉もはっきりしないことに使用します。
「漠然」は、考え、気持ち、話の内容がはっきりしないことに使われることが多いです。
「漠然とした不安」のような使い方をします。
「曖昧」は、物事や態度がはっきりしないことに使われることが多いです。
本人がわかっていなくてはっきりしないことにも、意識的にはっきりさせないことにも使用できます。
「漠然」と「曖昧」の英語表記の違い
「漠然」は英語で“vague”と表記をします。
「曖昧」は英語で“unclear”や“vague”と表記をします。
「曖昧」な態度は、どのようにもとることができます。
その意味では“equivocal”と表記をします。
「漠然」の意味
「漠然」には、はっきりとしないさま、広くはてしないさまという意味があります。
はっきりしないといっても、なんとなくわかるけれどはっきりしない、まったくわからなくてはっきりしないなど、「はっきりしない」の程度はさまざまあります。
「漠然」が意味するはっきりしないとは、何となくそうと感じられるけれど、はっきりしないことです。
新しい仕事に就くとき、これからのことを楽しみに思う気持ちがある一方、何となく不安もあるのではないでしょうか。
はっきりこれが不安だとわかるものではありません。
このような何となくなものが「漠然」です。
広くてはてしないさまというのは、限りがないように感じられるほど広いという意味です。
海はどこまでも広がっていて、どこで終わるのかわかりません。
このようなものが「漠然」です。
「漠然」の使い方
はっきりしないことに使用します。
特に、考え、気持ち、話の内容に使われることが多いです。
新しい事業をはじめてみようと思っているけれど、しっかりと計画は立てていない。
何となくこんなふうなことをしたいと考えているだけ。
このようなことは、考えが「漠然」としているといえます。
「漠然とした不安」といったときは、気持ちに関する使い方です。
小さな子どもは話の内容にまとまりがなく、何を言いたいのかわからないことがあります。
このようなことは「話が漠然としている」といいます。
「漠然」を使った例文
・『漠然とあの会社はいいに違いないと思っていた』
・『漠然とした印象しか持っていない』
・『漠然としていて理解できなかった』
・『こんなふうになりたいという漠然とした理想があった』
「漠然」の類語
「曖昧」「不確か」「うやむや」が類語です。
「不確か」には、確かでないという意味があります。
「うやむや」は、そうしようと思えばはっきりさせることができるのに、意図的にぼんやりとさせることです。
「漠然」の対義語
「確か」や「はっきり」が対義語です。
「曖昧」の意味
「曖昧」とは、態度や物事がはっきりしないことです。
今度一緒に食事をしようと友達を誘いました。
友達からの返事は、「その日は大丈夫かもしれないし、予定があったかもしれない」というものでした。
このような態度では、一緒に食事ができるのか、できないのか、はっきりしません。
こういったはっきりしないことを「曖昧」といいます。
「曖昧」の使い方
はっきりとしないこと、特に物事や態度について使用をします。
「曖昧」は、本人がわかっていなくてはっきりしないことにも、意識的にはっきりさせないことにも使用できます。
食事の誘いをして、はっきりした答えをもらえなかったことを、「曖昧は答え」ということができます。
本当に予定がわからなくてはっきりさせられないこともあれば、本当は断りにたいけれど断りにくいのではっきりさせないこともあります。
「曖昧」を使った例文
・『根拠が曖昧だ』
・『曖昧な指示でどうしていいかわからない』
・『物事を曖昧にしたくない』
・『夜遅くに食べないと曖昧なものではなく、夜9時以降は食べないとはっきり時間を決める』
「曖昧」の類語
「漠然」「不確か」「うやむや」が類語です。
「曖昧」の対義語
「確か」「はっきり」が対義語です。
まとめ
はっきりとしないという点では意味が同じですが、「漠然」は考え、感じ方、話す内容などに使われ、「曖昧」は態度や物事に使われ、使われ方が違います。