似たような意味合いで混同しやすい言葉として「動く」と「働く」と「動かす」があります。
これらの言葉はどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「動く」と「働く」と「動かす」の違いについて解説します。
「動く」とは?
「動く」とは、「物が移動したり位置が変わったりすること」を意味する言葉です。
「動く」が表すのは「自らの力によって位置が移ること」です。
内側から発せられるエネルギーと動力によって移動するのが「動く」であり、力が出るだけで場所の変化がない場合は「動く」に該当しません。
位置が変化する、もしくは位置の変化を伴うような状態変化があることを「動く」と表現します。
歩いたり走ったりするのは位置の変化なので「動く」ですが、手を上げたり体を揺すったりするのも空間座標としての移動を伴うので「動く」に該当します。
静止状態からの変化を表す言葉なのでほんのわずかであっても自らの力で静止状態から変化すれば「動く」です。
「動く」の例文
・『体が痛くて動くこともままならない』
・『じっとしていると退屈なのでとにかく動くことにする』
「働く」とは?
「働く」とは、「体や知能を使って行為を行い結果を得ること」を意味する言葉です。
「働く」には「行為に対する結果」という要素が含まれています。
行為をしたことで何らかの結果が表れるのが「働く」なので行為をしても何も結果が出ない場合は「働く」ではありません。
一般的には体や知能を使って経済的な結果を得る「労働」を指して「働く」と表現しますが必ずしも金銭的な結果だけではなくあらゆる物事に対して使われる表現です。
人のために世話を焼いたりボランティアで力を尽くしたりする行為も「働く」に含まれます。
「働く」の例文
・『汗水たらして働くのは大変だが楽しい』
・『朝から晩までへとへとになるまで働く』
「動かす」とは
「動かす」とは、「物に作用を及ぼして位置を移したり変化させること」を意味する言葉です。
「動かす」は他からの影響を表す際に用いる他動詞なので自分以外の他のものを必要とします。
例えば「車を動かす」のように自分ではない車を移動させるときに用いられ「自分ではない他の物の位置が移ること」を表すときに使われる表現です。
「動かす」には常に「動かすもの」と「動かされるもの」という主従が存在します。
位置を移る主体ではなく位置を移る主体に対して作用を及ぼすものの視点に立って使われる言葉です。
「動かす」の例文
・『以上がないか確認するために手を動かす』
・『部屋の模様替えをするために本棚を動かす』
「動く」と「働く」と「動かす」の違い
「動く」と「働く」は行為者の動作を表す言葉ですが「動かす」は行為者が他の人や物に対して作用を及ぼすことを表しています。
「動く」と「働く」で変化があるのは自分ですが「動かす」で変化があるのは自分ではない他の人や物です。
「動く」と「動かす」が人や物の移動や変化そのものを意味する表現であるのに対し「働く」には行為に対する結果を意味しています。
動いた結果として何かを得たり大きな変化が見られたりすることを表す言葉が「働く」です。
まとめ
「動く」と「働く」と「動かす」はどれも非常に身近な言葉ですがあらためて意味を考える機会は少なく違いを説明するのは簡単ではありません。
それぞれの正しい言葉の意味を知ってふさわしい使い方をしてください。