1970年代に大きな社会問題になっていた「公害」というものがありました。
これは高度経済成長の代償として多くの工場が有害な廃棄物を空気中や川などに放出したことから起きました。
問題となったのは化学スモッグやそこからでた硫酸ミストでした。
それではこの「ミスト」というのはどのようなものでしょうか。
似た言葉の「蒸気」、「水蒸気」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「蒸気」と「水蒸気」と「ミスト」の違いを分かりやすく説明していきます。
「蒸気」とは?
「蒸気」とは、個体や液体が気体になった状態のものを指す言葉です。
多くの場合は、後述の「水蒸気」のことをいう場合が多いのですが、本来はどんなものでも気体になった状態ならば「蒸気」と呼びます。
「蒸気機関車」の「蒸気」も石炭などを燃料とするボイラーで水を熱して水蒸気にしたもを動力にしているので、本来は「水蒸気機関車」というべきものです。
英語では「steam」と言います。
「水蒸気」とは?
「水蒸気」とは、水が沸点を迎える等によって、液体から気体になった状態のものを示す言葉で、英語では「water vapor」と言います。
やかんなどでお湯を沸かす時に出てくる白いものを水蒸気だと勘違いしている人も多いのですが、これは湯気であり、細かい水滴となった液体の水です。
水蒸気はその湯気とやかんの間にある気体なので目には見えません。
「水蒸気蒸留」とは、本来は高い沸点を持つ物質を、水蒸気と混合することにより低い温度で蒸留可能にした装置のことです。
「ミスト」とは?
「ミスト」とは、英語の「mist」をカタカナにしたもので、「霧」あるいは「霧状のもの」という意味です。
日本語においては、気象現象としての「霧」を「ミスト」と呼ぶことは少なく、一般的にスプレーなどで噴霧した「霧状のもの」を指すものです。
例えばスプレーから出す整髪料や、農薬のようなものを「ミスト」と呼びます。
「蒸気」と「水蒸気」と「ミスト」の違い
「蒸気」と「水蒸気」と「ミスト」の違いを、分かりやすく解説します。
これらは「空気中に飛散したもの」という意味では同じですが、そもそも実体と形状が違います。
まず、形状としては、「蒸気」、「水蒸気」が「気体」であり、「ミスト」は「液体」の細かい粒です。
さらに、実態という意味では「水蒸気」が「水」のことを表しますが、ほかの2つに関しては、どんなものでも関係ありません。
まとめ
この記事では、「蒸気」と「水蒸気」と「ミスト」の違いを説明してきました。
序文で述べた「公害」の時代には、同時期に刊行されたノストラダムスの予言のことが書かれた書物のベストセラーなども重なり、無気力となり人生を悲観する若者も増えました。
その時に話題となった「硫酸ミスト」やオキシダントなどの化学用語は、その時代を生きた人たちにとっては身近であり、忘れることができないものです。