この記事では、「コンセプト」と「テーマ」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「コンセプト」と「テーマ」の違い
初めに二つの言葉の意味を確認します。
「コンセプト」とは、概念や観念といったものがもとになっている言葉で、本来の意味から拡張された結果、発想や構想などの意味も持つようになっています。
日本語では、一般的に、全体を通して変化することがない一貫した元となる考えといった意味で用いられており、何かを達成することや作るための元となる考え方や構想の意味で用いられています。
元々の言葉である概念や観念というものは、哲学的なもので説明することが難しいのですが、概念は何かを説明するときに共通点を挙げて同じものだと判別できる考えのことで、観念は物事に対する自分が持っている認識や頭の中で個人が持つ主観的な認識です。
どちらも、人によって持っている心や考え方によって差異が生まれやすく確定的でないものなので、対象によって認識しづらい言葉になってしまっています。
「テーマ」とは、行動や創作などのもとになる考えのことで、主題や論文の題目、音楽の主旋律などの意味合いがあり、芸術作品や、議論などにも用いられます。
日本語では、物事を考えるときの主題といった意味があり、何かを作ることや、何かをすること、何かを達成するための目的のような意味合いで用いられることもあります。
主題とは、その文章や作品、議題などの中心となる内容のことで、音楽では中心となる主旋律のことをさします。
「コンセプト」は、全体を通して変化することがない一貫した元となる考えであるのに対し、「テーマ」は、最初に設定される主題そのものをさしているという違いがあります。
「コンセプト」と「テーマ」の使い方の違い
「コンセプト」は、抽象的な共通する認識や構想をまとめるために使われる言葉ですが、「テーマ」をもとにしてつくられる、どうやって行うのかという解決方法や、提案のことといった使われ方もあります。
後者の使われ方は、マーケティングなどで用いられており、企画自体の大きな枠組みのことをさしています。
「テーマ」は、主題のことをさしており、芸術作品では、作者が作品を通して使えたい考えといった意味で使われます。
議論の場合には、例えば、いじめをテーマに議論したとすると、いじめという主題があるうえでそこに関連した議論がなされることになります。
「コンセプト」と「テーマ」を曖昧にしてしまうことの原因は、芸術作品に対して用いられる「テーマ」の意味合いが関係しています。
本来の「テーマ」には、主題そのものという意味しかないのですが、例えば平和という「テーマ」という使われ方では、そこに作品を通して伝えたいことが平和なのだというイメージとして付与されてしまいます。
そこで付与される主題のイメージは、平和という概念的で抽象的なことも感じてしまうため、「テーマ」と「コンセプト」が混同されて使われてしまうことになりやすくなります。
また、論文の題目の「テーマ」について考えると、研究中に得られた結果をもとに後から直接的に内容を説明するための「テーマ」を決めるといった逆転現象がしばしば起こってしまうため、混同される原因に成ることが考えられます。
「コンセプト」は、概念的で抽象的な共通する認識や構想をまとめるために使われるのに対し、「テーマ」は、抽象的か具体的かを問わず、主題そのものに対して使われるという違いがあります。
「コンセプト」と「テーマ」の英語表記の違い
「コンセプト」の英語表記は“concept”となります。
“concept”は、概念、観念という意味と、心に抱いている考えや意見という意味と、基本的な理解や把握という意味と、製品などの構想といった意味があります。
似たような意味を持つ“idea”は、考え、思いつき、発想、着想、アイデア、意見などの意味がありますが、“concept”は、“idea”よりも抽象的であり、共通した要素を抜き出して一般化できるようなことがらに対して使われるということに注意が必要です。
“conception”も概念を表す単語ですが、より具体的で個人的な考えとして使い分けがされています。
「テーマ」の英語表記は“ theme”となります。
“theme”は、話題や議論などの主題という意味と、芸術作品や研究などの主題という意味と、音楽の主旋律という意味があり、日本語の意味と同じような意味合いがあります。
「コンセプト」と「テーマ」を使った例文
・『この掃除機のコンセプトは、軽くて掃除の負担がかからないことです』
・『サービスのコンセプトを教えてください』
・『研究テーマは具体的なものが好ましい』
・『明日映画のテーマ曲が発表される』
・『テーマを決めてからコンセプトを出した方が良い』
「コンセプト」の類語
類語には、概念、観念、コンセプションなどがあります。
概念は、物事を大まかにまとめた意味や内容です。
観念は、人が物事に対して持っている主観的な考えです コンセプションは、英語で上げた意味のほかに、受胎という意味もあります。
「コンセプト」の対義語
対義語には、具現、具象、具体、実体があります。
具現は、はっきりと具体的な形を現すことです。
具象は、内容がわかりやすい方法で表現されていることです。
具体は、頭の中で考えられていた内容が、他の人に居も同じ形ではっきりと理解できるようになっていることです。
実体は、具体的な形を持ったものです。
「テーマ」の類語
類語には、主題、題目があります。
主題は、その文章や作品、議題などの中心となる内容のことです。
題目は、書物や文章などの題のことです。
まとめ
「コンセプト」と「テーマ」の違いについて説明しました。
「コンセプト」は、全体を通して変化することがない一貫した元となる考えであるのに対し、「テーマ」は、最初に設定される主題そのものをさしているという違いがあります。
「コンセプト」は、概念的で抽象的な共通する認識や構想をまとめるために使われるのに対し、「テーマ」は、抽象的か具体的かを問わず、主題そのものに対して使われるという違いがあります。