この記事では、「地場産業」と「伝統産業」の違いを分かりやすく説明していきます。
2つの言葉には、どのような意味と違いがあるでしょうか。
「地場産業」とは?
「地場産業」は「じばさんぎょう」と読みます。
「地場産業」は、「特定の地域に、その立地条件を生かして定着し、特産品を製造している産業のこと」という意味があります。
もともと、江戸時代の日本には、「藩」と呼ばれる、現在の県庁所在地のような区割りがあり、それぞれの藩が独立して経済活動をしていました。
経済的に豊かになるため、各藩は、その土地の資源、立地環境などを生かした産業を起こそうと振興しました。
例えば、木が多く、大きな河川に面している藩ならば、「家具」を「地場産業」にしたかもしれません。
藩内に生えている木を材料にして家具を作り、河川を道路として使い、江戸や大阪に送るなどして、経済的に豊かになろうとするためです。
このような取り組みは、明治時代になると、西洋諸国の影響を受けて新たな産業が生まれたり、海外輸出を目的とした「地場産業」が生まれるなど、さらに発展していきます。
このようにして現在も続く「地場産業」が登場しています。
「伝統産業」とは?
「伝統産業」は「でんとうさんぎょう」と読みます。
「伝統産業」は「長年にわたり受け継がれている技術などを用いた、伝統工芸品を製造する産業のこと」という意味があります。
「伝統産業」は、江戸時代もしくは、それ以前から、その地方に伝わる技術を受け継ぎ、生かした、伝統工芸品を作る産業のことを指します。
「伝統産業」には、熟練した技が必要で、職人による手作業であるという特徴があります。
また、長い歴史があるという特徴もあります。
織物や陶器、漆器、木工品、金工品、竹工品、和紙、文具、仏壇など様々な伝統工芸品を作る「伝統産業」があり、その地域で長い間産業として成り立っています。
ただし、技術習得には十年単位の時間が必要なため、後継者問題があります。
また、日本の原材料は、海外に比べて高いため、輸入品と価格競争で負けてしまう傾向があります。
そのため、国からの保護があり、経済産業大臣が「伝統的工芸品」と認めた場合、補助金が支給されます。
「地場産業」と「伝統産業」の違い
「地場産業」と「伝統産業」の違いを、分かりやすく解説します。
「地場産業」は、「特定の地域に、その立地条件を生かして定着し、特産品を製造している産業のこと」という意味があります。
一方で「伝統産業」は「長年にわたり受け継がれている技術などを用いた、伝統工芸品を製造する産業のこと」という意味があります。
「地場産業」と「伝統産業」は、同じような意味があり、両者が重なる部分もあります。
ただし、「地場産業」は、「ある地域の立地条件を生かした産業」という点に重きが置かれているのに対して、「伝統産業」は、「歴史があり、手作業によるもの」という点に重きが置かれているという違いがあります。
まとめ
「地場産業」と「伝統産業」の違いについて見てきました。
2つの言葉の意味の違いを知ることで、日本に伝わる産業について理解が深まるかもしれません。