「青田買い」と「青田刈り」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「青田買い」と「青田刈り」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「青田買い」「青田刈り」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

青田買いと青田刈りの違い

「青田買い」「青田刈り」という言葉は似ていますが、「買い」「刈り」の部分が違うように、同じ意味の言葉ではありません。

「青田買い」「収穫前の稲を、収穫量を見越して先に購入する」という意味です。

これが転じて、「卒業前、採用時期よりも早い段階から、企業が学生の内定を決めること」という意味になりました。

また、不動産を取り扱う業界では、「未完成の物件を買う」という意味でも使われます。

不動産業界に限らず、「良い可能性のあるものを先買いしておく」とき、「青田買い」という言葉を使います。

以前は人材に対してのみ使われることが多い言葉でしたが、最近ではものに対しても多く使われるようになってきました。

「青田刈り」「まだ未熟な、青い色をしている稲を刈り取ること」という意味です。

「青田買い」と同じく、卒業前の早期の人材確保という意味で使われる場合もありますが、これは誤用であるとされています。


青田買いと青田刈りの使い方の違い

「青田買い」は、「卒業前の人材の早期確保」という意味で使われます。

これに対し「青田刈り」は、正式な意味では「稲の収穫量を調整するために、収穫前の稲を刈り取る」ということです。

「青田刈り」「青田買い」と同じ意味で使用する場合もありますが、誤用です。


青田買いと青田刈りの英語表記の違い

「青田買い」を英語表記すると、buy rice before it is reaped(稲を成熟前に買い付ける)あるいはrecruit college students for future jobs long before they graduate(在学中の学生を卒業前にリクルートする)となります。

「青田刈り」の英語表記は reap green rice (青い稲を刈る)です。

青田買いの意味

「青田買い」はもともと、コメの先物取引のときに使われていた言葉でした。

田んぼがまだ黄金色にならない時期から、コメの収穫量を見積もって先に購入しておく、という意味です。

これが転じ、有能な学生を採用時期以前から早期に採用しておく、という意味になりました。

青い状態の田んぼを学生に、収穫量を学生の能力に例えた言葉です。

青田買いの使い方

企業が有能な学生を、採用時期より前の時期からリクルートするときに使われます。

最近では、よいものを世間に広まる前に前もって購入しておく、という場合にも使われることがあります。

青田買いを使った例文

・『彼は優秀な学生なので、大企業から青田買いされました』

・『この会社は何人かの学生を青田買いすることに決めたそうです』

・『彼女は私が青田買いしたいと思うに足る人材でした』

・『このキャラクターは話に登場したばかりだが魅力的で、ファンが増えると思うので、グッズを青田買いしておこうと考えています』

・『企業の青田買いは公平性を欠くとして批判が集まっています』

青田買いの類語

「青田買い」の類語は、先物買い、先行取引、予約、先取、などが挙げられます。

青田買いの対義語

「青田買い」の対義語は、事後購入、安物買いの銭失い、などです。

「価値のあるものを誤って刈ってしまう」という意味で、以下に説明している「青田刈り」も対義語であると考えられる場合があります。

不動産業界においては「青田売り」も対義語です。

「青田売り」とは、完成前の物件を販売することです。

青田刈りの意味

「青田刈り」は、しばしば「青田買い」の誤用として使われていますが、本来の意味は未成熟な青い稲を刈り取ることです。

もともとは戦国時代に使われていた戦術のひとつで、敵国を兵糧攻めするために、城の周りの田んぼの稲を未熟なうちに刈り取ってしまうことでした。

青田刈りの使い方

「青田刈り」は現代では、コメの生産量を調整するときに行われています。

稲を青い時期に刈り取ることで、過剰な生産を控えます。

青田刈りを使った例文

・『このままいけば今年は豊作になるので、青田刈りが必要かもしれません』

・『生産量を調整するために、この田の半分を青田刈りしました』

・『昔この田が青田刈りをされてしまい、農民はたいそう悲しんだ、という話が残っています』

・『青田刈りはもったいないので、できればやりたくないと思っています』

・『青田刈りした未熟な稲で子どもが箒を作って遊んでいました』

青田刈りの類語

「青田刈り」の類語は、生産調整、減反などです。

青田刈りの対義語

「青田刈り」の対義語は、増反などが考えられます。

まとめ

「青田買い」は、優秀な学生を早期から内定することです。

「青田刈り」は、熟していない時期の稲を青いうちに刈り取る行為のことですが、「青田買い」と同じ意味で使われる場合もあります。

なお、「青田刈り」のこの使い方は世間に広まりつつありますが、誤用です。