政治や行政関連で使われる言葉に「地方自治」と「住民自治」があります。
このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「地方自治」と「住民自治」の違いについて解説します。
「地方自治」とは?
「地方自治」とは、「国以外の地方公共団体が自らの地域を管理し運営すること」を意味する言葉です。
「地方自治」の使い方
人や団地が自らのことを管理したり運営したりなど行政主体となることを「自治」といいます。
自治は主体となるものの種類によっていくつかに分類されますが「地方公共団体によって行われる自治」が「地方自治」です。
「地方自治」では行政サービスや判断を行うのは国ではなく地方です。
地方にはそれぞれ地方ごとに異なる事情があるため国が一括して行政を司ると個別の事情に対する配慮が行き届かず十分なサービスが提供されないケースが発生します。
「地方自治」では地方が主体となって判断するため個別の事情に合わせた行政が実現します。
例えば、雪国にとって雪対策のサービスや予算は必須ですが雪の降らない地域の雪対策は不要です。
国が行政を一括管理市雪の降らない地域を基準にしてサービスを提供してしまうと雪国に不可欠な雪対策がまったく行われなくなってしまいます。
そのような行政のミスマッチを防ぎ地方が独立して行政を運営していくのが「地方自治」です。
「住民自治」とは?
「住民自治」とは、「住民の手による管理や運営」を意味する言葉です。
「住民自治」の使い方
人が集まり集団を形成された時にはトラブルを防ぐためのにルールが必要です。
基本的には法律や条例などのルールが適用されますが集団ごとに個別の決まりを設けたり取り決めを結んだりすることも求められます。
国や市町村などの自治活動では不十分であるときに住民自らの手により管理や運営が行われることを「住民自治」といいます。
「住民自治」の中でも身近なものとして「マンションの管理組合」が挙げられます。
マンションには住民が快適に生活するためにゴミ出しの時間や共用スペースの使用方法など独自のルールが設けられています。
これらのルールは法律や条例で決められたものではなくマンションで暮らす住民たちが自らの手で定めたものです。
マンションでは法律や条例に違反しない範囲での自治活動が行われていますが、このような住民自らの手によってマンションという一定の地域が管理運営されている状態が「住民自治」にあたります。
「地方自治」と「住民自治」の違い
「地方自治」と「住民自治」の違いは「自治の主体」です。
「地方自治」は地方公共団体が主体となるのに対し「住民自治」は住民自らが主体となって自治を行います。
「住民自治」は広義の「地方自治」に含まれ、「地方自治」の中でも地方公共団体による自治を意味する「団体自治」と区別するときに用いられる言葉です。
「地方自治」の例文
・『地方自治に関する論文を読む』
・『地方自治推進のため国から地方へ権限と財源が移譲される』
「住民自治」の例文
・『マンション住民の住民自治により平穏な暮らしが守られている』
・『町内会の会則は住民自治の一種である』
まとめ
地方分権が叫ばれる中「地方自治」と「住民自治」は重要な政治的キーワードとして注目を集めています。
同じ自治でも表すものはまったく異なるのでそれぞれの正確な意味を理解しておきましょう。