いずれも同じようで違うようにも感じる「控えめ」・「遠慮」・「謙虚」ですが、何か違いや使い分けはあるのでしょうか?
この記事では、「控えめ」と「遠慮」と「謙虚」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「控(ひか)えめ」の意味とは?
「控えめ」には以下の意味があります。
・「出しゃばらないこと」や「態度や言動を遠慮がちにすること、そのさま」
・「量など程度を少なめにすること、そのさま」
「控えめ」を使った例文
・『普段は控えめな彼だが、スポーツに関してはアグレッシブになる』
・『この品は控えめに見積もっても、百万は下らないだろう』
・『医師より、飲酒喫煙は控えめにするようにとの指摘を受けた』
「遠慮(えんりょ)」の意味とは?
「遠慮」には以下の意味があります。
・「言動や態度を慎み、控えること」
・「辞退すること」や「ある場所から引き下がること」
・「遠い将来のことも見越して、思慮を張り巡らせること」や「遠謀」
「慮」という字は「慮(おもんぱか)る」とも書き、「考える」や「思いをめぐらす」という意味を持ちます。
「遠慮」のもともとの意味は文字が示すように「遠い将来のことを見越して、思慮を張り巡らせること」でした。
ちなみに、江戸時代には「遠慮」と呼ばれる刑罰があり、武士や僧侶に対する軽い自宅謹慎のことを指していました。
「遠慮」を使った例文
・『彼女は遠慮しがちな性格のせいで損していることも多い』
・『どうか遠慮せずに召し上がってください』
・『来月のパーティですが、出席は遠慮させていただきます』
「謙虚(けんきょ)」の意味とは?
「謙虚」とは、「慎ましく、控えめなこと、そのさま」や「相手にへりくだって、主張などを素直に受け入れること」を意味する言葉です。
「謙」という字は「謙(へりくだ)る」とも書き、「控えめな態度をとる」や「礼儀正しくする」という意味を含みます。
「虚」という字は「虚(むな)しい」や「虚(うつ)ろ」とも書き、「中身がない」や「空っぽ」「うそ」、「よわい」というネガティブな意味を持つ一方で、「素直」や「邪心を持たない」という意味も持っています。
「謙虚」を使った例文
・『謙虚で誠実なことから彼に対する人望は非常に厚い』
・『上司からの厳しい叱責を彼女は謙虚に受け止めていた』
・『謙虚さに欠ける態度で接していると、人は自然と離れていく』
まとめ
「控えめ」・「遠慮」・「謙虚」はいずれも主たる意味は「態度や言動が慎ましいこと」を指している類義語ですが、「謙虚」にはそれに加えて「素直」というニュアンスも含まれているようです。
したがって、「控えめな性格」・「遠慮がちな性格」という表現は「慎ましい性格」という意味となりますが、「謙虚な性格」と表現した場合は「慎ましさ」に「素直さ」がプラスされると言えます。
また、「控えめ」と「遠慮」にはそれぞれ上記とは別の意味も含まれています。
「控えめ」は「量や程度などを少なめにする、抑える」という意味を持ち、一方、「遠慮」は「遠慮する」のように辞退の意をより丁寧に表現するときに用いられる言葉です。