この記事では、「直感」と「感覚」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「直感」と「感覚」の違い
「直感」と「感覚」は、両方とも「感じる」という字が入っています。
二つとも「何かを感じる」時に用いる言葉です。
しかし、この二つの言葉には違いがあります。
「直感」は「言い表すことが難しい感覚」です。
加えて、「説明はできないが瞬時にわかった」という場合に用いられます。
「感覚的にわかる、即時的なひらめき」のことを「直感」といいます。
これに対し、「感覚」は、「外からの刺激を受けて感じ取ったもの」のことです。
「直感」を得るためには「感覚」の刺激が必要ですが、「感覚」それ自体は、私たちは生きていく上で常に受け取っています。
「直感」と「感覚」の使い方の違い
「直感した」とは使いますが、「感覚した」とは使いません。
「感覚」は「する」「しない」ではなく、「ある」「なし」という語が付きます。
「感覚がない」「感覚がある」というふうに用います。
「直感」は、前述のように「する」「しない」を付けて使えます。
また、「直感があった」などのように、「ある」「なし」を付けても用いることができます。
「直感」と「感覚」の英語表記の違い
「直感」の英語表記は“intuition”(イントゥリション)です。
「感覚」は“sense”(センス)と表記されます。
「直感」の意味
「直感」とは、考察や説明などによって物事を理解していくのではなく、感覚によって即時的に物事の本質をとらえることです。
意識的にではなく無意識的に判断された「勘」のことを「直感」と言います。
過去に多く経験した事象や、十分に知識が蓄積された分野において、「直感」は発揮されます。
「直感」の使い方
「直感が働く」「直感が降ってくる」などのように用います。
「直感する」と使うこともできます。
「ピンとくる」という言葉がありますが、これは「直感が沸いた」という意味です。
「直感」は無意識下で起こるひらめきのことなので、「意図せずに」という意味合いから「振ってくる」「沸く」などの動詞が使われるようです。
「直感」を使った例文
・『教師はその生徒が隠し事をしていると直感していた』
・『彼は天才肌で数学を直感的に理解しており、テストの点はとても良い。しかし人に教えるのは絶望的に下手だ』
・『お腹の中に赤ちゃんがいる、と私は直感したので、レントゲン検査を受けませんでした』
・『一目見て、この人と結婚するかもしれない、と直感があった』
・『執筆に行き詰った時は散歩に出かけます。そうすると直感が降ってきて、次の展開を思いつくことがあります』
・『急に直感が降ってきて、僕はその問題を解くことができました』
「直感」の類語
「直感」の類語は「第六感」(だいろっかん)です。
「第六感」とは、「五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)以外から成る、物事の本質を捉えられる、理屈では説明できない感覚」です。
五感を越えて物事を直感的に感知できる能力のことです。
「直感」の対義語
「直感」の対義語は「推理」(すいり)です。
「推理」とは、「これまで明らかになっている事象に基づき、新たな結論を導き出すこと」です。
他人に明確に説明できる、論理的な思考から成り立ちます。
また、「論理」(ろんり)も「直感」の対義語です。
「論理」とは、「思考を進めていく道筋」のことです。
「感覚」の意味
「感覚」には様々な意味があります。
まず、外界からの刺激を感じたとき、それによって起こる意識を「感覚」と言います。
五感を感じ取ったときの反応のことです。
これは、心理学などで詳しく解説されています。
また、好みや良し悪し、違いを感じ取る心理的な動きのことも「感覚」と言います。
これは、センスや感受性のことです。
単に「気分」や「雰囲気」のことも「感覚」と言う場合があります。
「感覚」の使い方
例えば「金銭感覚」と使った場合、「お金の使い方のセンス」という意味になります。
何にどのくらいお金を使うか、収入と支出のバランスはどのくらいか、などです。
「嫌な感覚がした」と使う時は、「五感から不快なものを感じ取った」という場合と、「嫌な雰囲気がした」という場合が考えられます。
文脈によって判断が必要です。
「感覚」を使った例文
・『歯が痛い感覚がするので、歯科医の予約を取りました』
・『彼女は帰国子女で、日本人の感覚とは少し違う物事の考え方をする』
・『彼は子どもの頃からバレエを嗜んでいて、すぐれたバランス感覚を持っている』
・『先生と私は、年齢も離れているし、趣味も違うし、共通点もなかったけれど、不思議と感覚が合いました』
・『子どもの感覚で判断すると、一年はとても長い時間だった』
・『私はその国の言葉を知りませんでしたが、とても歓迎されている、ということは感覚的にわかりました』
「感覚」の類語
「感覚」の類語は「感受性」(かんじゅせい)です。
「感受性」とは、外からの刺激や印象を感じ取る能力のことです。
「感受性が強い」などのように用います。
また「センス」も「感覚」の類語です。
「センス」は「直感」にも近い語で、「物事の雰囲気、微妙な良さなどの細かな価値観」という意味です。
「感覚」の対義語
「感覚」の対義語は「知恵」(ちえ)が挙げられるかもしれません。
「知恵」とは「物事の道筋を立て、正しく処理する能力」のことです。
感覚が「外からの刺激を受けて感じ取るもの」なので、「自分の頭の中で組み上げ、作り出していくもの」という意味で、「知恵」は「感覚」の対義語であると考えられます。
まとめ
「直感」と「感覚」の違いについてまとめました。
「直感」は「言葉にしづらい、説明できない感覚により、物事の本質を捉えること」です。
「感覚」は「外界からの刺激を受けて感じ取ったもの」や、「センス」「雰囲気」のことです。