この記事では、「全部」と「全体」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「全部」と「全体」の違い
「全体」には、物や事のすべて、全体という意味があります。
「全部」とは、あるひとまとまりの物や事のすべての部分のことです。
「全体」はもともと、体のすべての意味を持っています。
体には、手、脚、頭、腹などさまざまな部位があり、それらをまとめたものが「全体」です。
ひとつひとつのものをまとめて、大きなひとかたまりとして捉えています。
それに対し「全部」は、ひとつひとつをそれぞれ別のものと考え、それらを寄せ集めたものと考えています。
「全部」と「全体」の使い方の違い
大きなひとかたまりとして考えた、物事のすべてを指す場合には「全体」を使用します。
物事のひとつひとつを生かし、それらを寄せ集めたものとした場合には「全部」を使用します。
1枚の画用紙があります。
この画用紙のすべてを使って絵を描くことは「画用紙全体を使って絵を描く」といい、「画用紙全部を使って絵を描く」とはいいません。
画用紙を大きなひとまとまりのものと考えているため、「全体」を使用するのです。
何人かで待ち合わせをすることになりました。
すべての人がそろったことを「全部の人がそろう」といいます。
これは、一人ひとりを生かしており、それらを寄せ集めたものと考えているからです。
「全部」と「全体」の英語表記の違い
「全部」は英語で“all”や“whole”と表記をします。
ものなどをすべて集める意味では、“complete”と表記することがあります。
「全体」は英語で“whole”や“entire”と表記をします。
「全部」の意味
「全部」には、物や事のすべてという意味があります。
テーブルの上に、リンゴ味、ブドウ味、イチゴ味、ミルク味、オレンジ味などの飴がのせられています。
これらをまとめて「全部」ということができます。
それぞれを別々のいっこのものと考えて、それらを寄せ集めた考え方をしています。
漫画は何巻にもわたって発行されることが珍しくありません。
たとえば10巻ある漫画だったら、1巻から10巻までをそろえることを「全部の漫画をそろえる」、あるい「1巻から10巻まで全部持っている」ということができます。
一そろいになる書物のすべても「全部」の意味です。
「全部」の使い方
物事のすべてを指す場合に使用をします。
ひとつひとつのものを集めて、大きなひとかたまりとして考えるのではなく、「全部」という言葉は、ひとつひとつのものは別の物として考えています。
たとえば、「食器全部を片付ける」といった場合は、食器ひとつひとつは別の物でありながらも、それらを寄せ集めたものとして捉えています。
「全部」を使った例文
・『全部を購入しても、たった1000円』
・『全部の料理を食べたくて迷う』
・『これまで経験したことは全部意味があった』
・『部屋にあるものは全部好きなものです』
「全部」の類語
「全体」「すべて」が類語です。
「すべて」には、物や事のいっさいという意味があります。
「全部」の対義語
「一部」が対義語です。
「一部」には、すべての物や事のある部分という意味があります。
「全体」の意味
「全体」には、体のすべての部分、物や事のすべての部分という意味があります。
「全体」は、もともと体のすべての部分の意味がある言葉です。
体には、手、脚、頭などさまざまな部分があり、これらは独立しているのではなく、それぞれが関連しあっています。
ひとつひとつが独立していては、存在することができません。
ひとつひとつのものすべてを、大きなひとかたまりと捉える考え方が「全体」です。
「全体」の使い方
ひとつひとつの物や事をすべてまとめて、大きなひとかたまりとしたものを指して「全部」という言葉を使用します。
「町全体で清掃活動に取り組む」といった場合、町を大きなひとかたまりとして考えている意味が含まれます。
町を分割して、それぞれの地区が別々に活動をするのではありません。
学校の運動会などでは「全体練習」というものがあります。
これは、小学校なら1年生から6年生までをひとかたまりとして捉えたいい方です。
学校の生徒をすべてまとめてかたまりとして捉えているので「全体」という言葉を使用しています。
「全体」を使った例文
・『全体を使って表現する』
・『会社全体にかかわる問題』
・『業界全体で売り上げが伸びている』
・『市全体で取り組む』
「全体」の類語
「全部」「すべて」が類語です。
「全体」の対義語
「一部」「部分」が対義語です。
「部分」には、全体をいくつかの物事にわけたひとつひとつのものという意味があります。
まとめ
2つの言葉はほぼ同じ意味ですが、「全部」はひとつひとつの物事をそれぞれのものと考えて、それらを寄せ集めた捉え方、「全体」はひとつひとつをまとめて大きなかたまりとした捉え方という点に違いがあります。