何か二つのものについて論じるときに「前者」や「後者」という表現を使うことがありますが、この二つはそれぞれどのような意味を持つのでしょうか。
この記事では、「前者」と「後者」の違いを分かりやすく説明していきます。
「前者」とは?
「前者」とは、二つ示したもののうち、前のもののことを言います。
英語で「前者」を表す表現は、“the former”です。
「前者」の使い方
二つのものを提示した後、前に提示した方を指して「前者」と言います。
「前者」は、「これ」「それ」「あれ」といった指示語と似たように、繰り返しを避けるために使える表現です。
例えば、「可能性として考えられるのは、私の認識が間違っていたか、彼が嘘をついていたかだ。
状況から考えるとおそらく前者だろう」というように使います。
「前者」は、それ以前に提示された二つのものについて使うことができますが、その提示の部分と「前者」が離れてしまうと、読み手・聞き手に対して「前者」が何を指しているのか伝わりづらくなります。
そのため、文章を書く際に「前者」を使うときには注意が必要です。
「後者」とは?
「後者」とは、二つあげたうちのあとのもののことをいいます。
また、「後者」には、後に続く者、後世の人という意味もあります。
「後者」を表す英語の表現は“the latter”です。
「後者」の使い方
「前者」と同様に、二つのものを提示した後に、後から提示した方を指して「後者」といいます。
具体的には、「科学者もスポーツ選手も忍耐力があるが、体力的な我慢比べではやはり後者に分があるだろう」という感じです。
「前者」と「後者」の違い
「後記」には、後に続く人・後世の人という意味がありますが、「前者」には、前の人・前世の人という意味はありません。
二つ示したもののうち、前に示した方を指す場合には「前者」、後に示した方を指す場合には「後者」を使います。
「AとB」という二つのものが提示されたあと、「前者」が指すのはAで、「後者」が指すのはBです。
「者」という漢字には、特定の人という意味がありますが、「前者」や「後者」が指す対象は必ずしも人であるとは限りません。
「前者」「後者」は、人だけでなくあらゆるものについて使うことができる言葉です。
「前者」と「後者」は、書き言葉で使われることが多い表現ですが、話し言葉として使うこともできます。
ただし、口頭で話す際に「前者」「後者」を使うとそれぞれが何を指しているのか分かりにくくなってしまうことがあります。
話し言葉で使うときには注意を払いましょう。
また、前と後で対になる表現として「前記」と「後記」がありますが、その文章より前に書いてあることが「前記」で、その文章より後に書いてあるのが「後記」です。
まとめ
「前者」と「後者」は、対になる表現で、それぞれ二つ示したものの前の方と後の方を指します。
「後者」における後世の人と対になる意味が「前者」にはないので注意しましょう。