この記事では、「以後」と「以降」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「以後」と「以降」の違い
「以後」と「以降」はどちらも「基準となるある時点を含んでそれよりも後」を意味している言葉ですが、「以後」のほうが「以降」よりも「基準の時点に重点が置かれていて、指し示す時間の幅が狭い(短い)」という違いはあります。
さらに「以後」のほうが「以降」よりも、「その時点よりも後に起こる物事・行動」に意味の重点が置かれている違いもあります。
「以後、気をつけます」のほうが「以降、気をつけます」よりも、「気をつけるというその時点よりも後の行動・意識の変化」にやや重みがあるのです。
「以後」と「以降」の使い方の違い
「以後」も「以降」も「基準とするある日時・時点を含めてそれよりも後(先)」の意味で使われますが、「以後」のほうが「基準になっているある日時・時点よりも後で起こる物事(後でする行動)を重視している」というニュアンスを込めて使われます。
「以降」は「以後」よりも、「ある日時・時点そのものに重点が置かれたニュアンス(ある日時から後もかなり長くずっと続くのニュアンス)を込めて使う」という使い方になる違いがあります。
例えば、申込みすることを強調して伝えたい場合は、「4月1日以降に申込みをします」よりも「4月1日以後に申込みをします」のほうが行為の強調のニュアンスが伝わりやすいのです。
また「以後」は「今(この瞬間)から後」を示して使いますが、「以降」は「過去・未来の時点を基準としてその後」の意味合いでも使われやすい違いがあります。
「以後」と「以降」の英語表記の違い
「ある時点よりも後・先」を示す「以後」と「以降」は、英語では厳密な区別がありません。
そのため、英語を用いて表記する場合には以下のように同じ表現になります。
“after”(~の後・~より後・以後・以降)
“since”(~の後・~より以来・以後・以降)
“from”(~の時から・~から先・以後・以降)
“from now on”“hereafter”(今からずっと・これからずっと・今後・以後より以降のニュアンスが強い)
“ever since”(それからずっと・以後より以降の意味合いが強い英語表現です)
「以後」の意味
「以後(いご)」とは、「今よりも後・先」や「基準としているある日時(時点)を含めてそれよりも後」を意味している言葉です。
「3日以後」には「3日」も含まれていて、「以後」は「基準とするその日時」も含んでいます。
「以後」という表現は、「以降よりも指示する時間の範囲が短い」や「基準となる時点より後に起こる物事・行動を重視している」といった意味のニュアンスを持っています。
「以後」の使い方
「以後」は「以後、同じミスをしないようにします」の文章のように、「今よりも後」や「基準にしているある時点も含めて、その時点よりも後・先」の意味で使われます。
「以後」の表現は、「それ以後・○月○日以後・以後、気をつけます・以後、よろしくお願いします・以後の詳細(消息)は不明」などの用法で使う使い方がされています。
「以後」を使った例文
・『以後、同じあやまちを犯さないように気をつけます。』
・『1月10日以後に、事務所に出席するか否かの連絡を入れてください。』
・『不快な思いをしたため、以後の交際はお断りさせて頂きます。』
・『それ以後、彼女と再会することはありませんでした。』
・『10年前に彼らは冬山で遭難したのですが、以後の消息は不明のままとなっています。』
「以後」の類語
「以後」の類語は、以下になります。
「今後(こんご)」……今の時点を含めて、今の時点よりも後・先。
これから(今この瞬間から)後・先。
「その後(そのあと)」……ある物事が起こったその時点よりも後。
ある行動をしたその時点よりも後。
「先々(さきざき)」……これから(今の時点よりも)先の時間軸のこと。
今よりも先の将来の行く末。
「以後」の対義語
「以後」の対義語は、以下になります。
「以前(いぜん)」……基準とするある時点・日時を含めて、それよりも前。
「以降」の意味
「以降(いこう)」とは、「その時よりも後・先」や「ある時点から先ずっと」を意味している表現です。
「以降」という場合は、「基準としているある日時(時点)を含めてそれよりも後ずっと」のことを示しています。
「10日以降」という時には「10日」も含まれていて、「以降」は「基準とするその日時」も含んでいます。
「以降」の言葉には、「以後よりも指示する時間の範囲が長い」や「基準となる時点(日時)そのものを重視している」といった意味のニュアンスがあります。
「以降」の使い方
「以降」は「10月以降は雪が降るので、冬支度が必要になります」の文章のように、「基準となるある日時(時点)を含めて、その日時よりも後ずっと」を意味して使う使い方になります。
「以降」という表現は、「それ以降・○月○日以降・今日以降・明日以降(翌日以降)・昨日以降・○曜日以降」などの用法で使う使い方をすることができます。
「以降」を使った例文
・『明日以降であれば、いつ連絡をしてもらっても構いません。』
・『10月1日以降の登山は降雪・積雪が予測されるため、冬山の装備を持っている登山者だけに限らせてもらいます。』
・『今日以降、私はタバコをやめることを誓います。』
・『先週以降、雨がずっと降っていないため、貯水池・ダムの貯水率が大幅に減っています。』
・『刑事事件として起訴された不祥事を起こして以降、同僚だった彼の姿を見かけたことはありません。』
「以降」の類語
「以降」の類語は、以下になります。
「将来(しょうらい)」……これからやってくる未来のこと。
これから先(後)のこと。
「以来(いらい)」……過去のある時点から今までずっと続いていること。
「後々(あとあと)」……今の時点から後・先。
現在の時点から見た時に、かなり先(後)のこと。
「以降」の対義語
「以降」の対義語は、以下になります。
「以前(いぜん)」……基準とするある日時(時点)も含めて、その時点よりも前。
「事前(じぜん)」……ある物事が行われるよりも前の段階・時点。
まとめ
「以後」と「以降」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「以後」と「以降」の意味・使い方・例文・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。