「尊い」と「貴い」と「高貴」
いずれも同じ言葉に感じますが、違いや使い分けはあるのでしょうか?
この記事では、「尊い」と「貴い」と「高貴」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「尊(とうと)い」の意味とは?
「尊い」には以下の意味があります。
・「崇高であり、近寄りがたい」、「神聖である」、「高貴である」
・「高徳であり、ありがたい」
・「価値が非常に高い」、「非常に貴重である」
上記の意味で用いる場合は、「尊(たっと)い」とも読みます。
「貴(とうと)い」の意味とは?
「貴い」が持つ意味は、先述した「尊い」と全く同じになります。
「尊い」と「貴い」の違い
「尊い」も「貴い」も表記が違うだけの同義語になりますが、ニュアンスに微妙な違いがあります。
「尊い」は、「平和の尊さ」や「尊い犠牲」など、「対象を尊重すべきもの」とする場合や、「対象を尊敬すべきもの」とする場合に用いられます。
対して「貴い」は、「貴い身」や「貴い時間」など、対象を「価値があるもの」、「貴重なもの」とする場合に用いられます。
また、「尊い」は主観的な感情、「貴い」は客観的な性質や、客観的に価値があるものとして説明されている例もあるようです。
「尊い」を使った例文
・『尊い神仏の教えが、後に彼の人生に大きく影響を与えた』
・『尊い犠牲を払った後、人民の権利が認められることになった』
・『彼にとって、唯一の理解者である親友は尊い存在だった』
「貴い」を使った例文
・『この人物は貴い身分でありながら、私生活は大変質素だったと云われている』
・『人生の貴い時間を無駄に過ごしてはならない』
・『この芸術家は早世したため、数少ない遺作は貴いものとして扱われている』
「高貴(こうき)」の意味とは?
「高貴」にはおもに以下の意味があります。
・「身分や家格が貴く、高いこと」
・「人格や人柄に気品があること」
・「値段が高く、貴重なこと」
上記の意味のほか、「高貴織(こうきお)り」と呼ばれる織物の略語としても用いられます。
「高貴」を使った例文
・『高貴の出であるため、あの人物の振る舞いは気品に溢れている』
・『彼の高貴な精神は、周囲の人々を惹き付けただけでなく、良い影響を与えた』
・『かつて、この食材は収穫が難しかったため、高貴な食材とされていた』
「尊い」と「貴い」と「高貴」の違い
「尊い」と「貴い」は先述したように、同義語ですが、ニュアンスに微妙な違いがあります。
「高貴」という言葉も、「尊い/貴い」の意味に包括されていますが、「高貴な身分」や「高貴な物」など「(客観的に)価値が高い」という意味で用いられることが多いようです。
そのため、「尊い」よりも「貴い」に近い、あるいは「貴い」をより強調した言葉と言えます。
まとめ
・「尊い」と「貴い」は全く同じ意味を持つ同義語になります。
意味としては、「崇高であり、近寄りがたい」、「非常に貴重である」、「高徳であり、ありがたい」などを指します。
ただし、「尊い」は対象を「尊重すべきもの」とする場合に用いり、「貴い」は対象を「価値あるもの・貴重なもの」とする場合に用いるなど、ニュアンスに違いがあるようです。
・「高貴」は、「身分や家格が貴く、高いこと」、「人格や人柄に気品があること」、「値段が高く、貴重なこと」という意味を持つ言葉です。