この記事では、「魅惑」と「魅了」と「蠱惑」の違いを分かりやすく説明していきます。
「魅惑」とは?
「魅惑」とは、「鬼」という漢字が含まれる「魅」と「惑わす」と読む「惑」という漢字によって構成される熟語で、「相手を惹きつけて惑わす」という意味を表します。
「魅」という漢字は「鬼」という漢字が含まれることからも分かるように「化け物」という意味を持つ漢字です。
そのため、「魅惑」の元の意味は人外の何者かが相手を翻弄するような様子を表します。
この「魅惑」が人間や無機物に使用されるようになると、「相手を惑わすような力・魅力を持った人・物が人間を惑わす」という意味に変化します。
「宝くじって損なのかな?」と思いなが買うか悩んでいる人にとって、宝くじは「魅惑」なものだということです。
「魅了」とは?
「魅了」とは、「魅惑」で説明した「魅」という漢字と「完了」の「了」という漢字で構成された熟語で、「相手をひきつけ夢中にさせる」という意味を表します。
先程の説明でもあったように「魅」という漢字は「化け物」の意味を表します。
「魅了」「了」という漢字は、「完了」という熟語で使用されることからも分かるように「物事の終わり」を表します。
そのため、「魅惑」で言われるような「相手を惑わすような力」が「了」となる、すなわち「惑わし終える」ということを表します。
「惑わし終えた」ということは、惑わされた人は相手・対象に夢中になっています。
そのため、「魅了」は「相手をひきつけ夢中にさせる」という意味を持ち、「彼女の美しさに魅了された」などというように使用されます。
「蠱惑」とは
「蠱惑」とは、「蠱」という漢字に「惑わす」という漢字を使用した熟語です。
あまり「蠱惑」という言葉を聞き慣れない方もいるかも知れませんが、「魅惑」の「魅」のように、「蠱」という漢字も「ばけもの」のようなものを表す漢字で、基本的には「魅惑」と同じような意味を表します。
ただ、詳しく見ると「魅惑」は「見た目通り美しく惹きつけられる」という意味合いが強いのに対して、「蠱惑」は「神秘的でなぜだかわからないが惹きつけられる」という意味合いがある、という違いがあります。
詳しく違いを知りたい方はまとめの部分で説明しますが少々気持ちの悪い様子を説明しなければならないので、そういう類の話が苦手な方はご遠慮ください。
「魅惑」と「魅了」と「蠱惑」の違い
以上のように説明される言葉は、相手を惑わす様子を表すときに使用しますが、「惑わす」作業が完了して、相手が虜になっている様子を表すのが「魅了」であるのに対して、「惑わす」ようなもの、「惑わす」途中の様子を表すのは「魅惑」「蠱惑」というように分けられます。
また、「魅惑」と「蠱惑」には神秘的な度合いの強い「蠱惑」と、比較的度合いが低い「魅惑」に分けられます。
まとめ
まとめの場を借りて「蠱惑」について詳しく説明します。
「蠱惑」の「蠱」という漢字は「皿」の上に「蟲」(むし)がある様子を表します。
「蟲」という漢字は、蛇などのマムシ以外の(主に群れをなすような)虫を表します。
そして、その「蟲」が「皿」の上にいるという構成、「蟲」同士が共食いをする様子を表します。
これは古い呪術のようなもので、共食いをして最後に残った「虫」には特別な力が宿っていると考えられていました。
そのため、「鬼」という人間に敵対すると考えられていた「ばけもの」に比べて「蠱」は「呪い」の要素を多く含んだ「ばけもの」ということになります。
そのため「蠱惑」と言う言葉は、単に美しい人よりは、神秘的でいつの間にか虜になってしまうような相手を指すことに適しています。