日本語の中には同じ発音の同音異義語があります。
例えば、「回顧」と「懐古」という2つの言葉もそうでしょう。
また、これらの言葉に「回想」という同じようなニュアンスを感じる言葉もあるのですが、どのような解釈の違いがあるのでしょうか?
そこでこの記事では、「回顧」と「懐古」と「回想」の違いを分かりやすく説明していきます。
「回顧」とは?
「かいこ」という読み方をする「回顧」は「過ぎ去った過去の出来事をあれこれ思い返すこと」、あるいは「振り返ること」、「過去にあったことを思い返すこと」といった意味がある言葉です。
「回顧」の例文
「回顧」の例文を見てみることにします。
・『父の回顧録をじっくりと見た』
・『彼の回顧展があのホールで開かられている』
過去の出来事の振り返るという意味では上記のような使い方ができます。
「懐古」とは?
「懐古」も「かいこ」という読み方。
また、意味は「昔のことを懐かしく思い起こすこと」、または「昔の時代を慕わしく思うこと」ということを指しています。
「懐古」の例文
・『課長は懐古主義の人で、よく昔話をしてしまう』
・『このお店は回顧主義なのかレトロな雰囲気がいい』
上記の例文を見ると、懐かしい思いに浸るっていることが分かります。
「回想」とは
「回想」は「かいそう」という読み方をしますが、「過ぎ去ったことをあれこれ思い出すこと」という解釈になります。
「回」は「元に戻る」という意味を持っており、「想」は「あれこれ考える」ということを言っているために、「回想」が「過ぎ去ったことを想い出す」という理解になるのです。
「回想」の例文
「回想」の例文は以下の通りです。
・『幼かった頃のことを回想する』
・『回想シーンが涙を誘った』
「回顧」と「懐古」と「回想」の違い
では、ここで「回顧」と「懐古」と「回想」の違いを考えてみましょう。
まずは「回顧」と「回想」の違いですが、「回顧」は「過去の事実を客観的に振り返る」という意味を持ち、「回想」は「自分が経験した過去の出来事を主観的に振り返る」という解釈になります。
このことから、「回想」は以前に自分が経験したことについて思いを巡らす時に使われる言葉なので、「回顧」のように客観的に過去にあった出来事を振り返る場合には使うことはできません。
「懐古」を見ると「懐かしい」の漢字が含まれています。
このことから「昔のことを懐かしむ」と理解できますが、「回顧」は「顧みる」が含まれているので、「過去を顧みること」という解釈になります。
まとめ
ここまで「回顧」と「懐古」と「回想」の意味や違いを説明してきました。
これらの言葉が「過去のことを振り返る」という意味では共通しているのですが、「記憶の振り返り方」という観点で解釈の相違点があるように思えます。
このように言葉の理解にはちょっとした相違点があるので、正しく理解をして適切な使い方を知っておくことが大切です。