自然災害の「がけ崩れ」、「土石流」、「地すべり」にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、「がけ崩れ」と「土石流」と「地すべり」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「がけ崩れ」の意味とは?
「がけ崩れ」とは、「斜面の地表に近い部分の岩塊や土砂が安定性を失って、突然、崩落する現象」で、斜面変動、斜面崩壊の一種とされています。
ただし、後述する「地すべり」や人工的に造成された斜面で発生するがけ崩れは対象から外されます。
集中豪雨や地震などがきっかけで発生し、崩落までの時間が非常に短いため、人家の近くで発生した場合、逃げ遅れなどにより、人命が奪われることが多いようです。
「がけ崩れ」の前兆
「がけ崩れ」の前兆現象として以下が挙げられており、下の項目に行くほど危険度が増します。
・がけにひび割れができる。
・小石がぱらぱらと落ちてくる。
・がけから水が湧き出す。
・湧き水が止まったり、濁る。
・地鳴りがする。
「土石流(どせきりゅう)」の意味とは?
「土石流」とは、「川底や山腹の石、土砂などの土石が雨水により一気に押し流され、河川の水と混合して、河川や渓流などを流下する現象」です。
「土石流」という言葉が1916年に創案される以前は、おもに「山津波(やまつなみ)」と呼ばれていました。
ほか、「鉄砲水(てっぽうみず)」や「泥流(でいりゅう)」とも呼ばれます。
集中豪雨や長雨などがきっかけ発生し、時速20kmから40kmの速さで人家などを破壊してしまいます。
「土石流」の前兆
「土石流」の前兆現象として以下が挙げられており、下の項目に行くほど危険度が増します。
・山鳴りがする。
・急に川の水が濁り、流木が混ざり始める。
・腐った土の匂いがする。
・降雨が続いているにもかかわらず、川の水位が下がる。
・立木が裂ける音、石がぶつかり合う音が聞こえる。
「地(じ)すべり」の意味とは?
「地すべり」とは、「斜面の一部、もしくは全部が地下水と重力の影響で、ゆっくりと下方に移動する現象」です。
土砂の移動形態の1つ、斜面上で発生する土砂災害の1つで、大量の土塊が移動するため甚大な被害を及ぼします。
先述した「土石流」と同じく、「山津波」と呼ばれることもあり、混同されがちですが、「地すべり」が地下水の影響で動くのに対し、「土石流」は渓流の地表水の影響で動かされるので、別の現象となります。
「地すべり」の前兆
「地すべり」の前兆現象として以下が挙げられており、下の項目に行くほど危険度が増します。
・地面のひび割れや陥没が発生する。
・がけや斜面から水が噴き出す。
・井戸や沢の水が濁る。
・地鳴りや山鳴りがする。
・樹木が傾く。
・亀裂や段差が発生する。
まとめ
・「がけ崩れ」とは、「斜面の地表に近い部分の岩塊や土砂が雨水の浸透や地震などでゆるみ、安定性を失って、突然、崩落する現象」です。
・「土石流」とは、「川底や山腹の石、土砂などの土石が雨水により一気に押し流され、河川の水と混合して、河川や渓流などを流下する現象」です。
・「地すべり」とは、「斜面の一部、もしくは全部が地下水の影響と重力によってゆっくりと下方に移動する現象」です。