この記事では、「自覚」と「認識」と「自認」の違いを分かりやすく説明していきます。
「自覚」とは?
「自覚」【じかく】は、自分の状態をはっきり知ることです。
「自覚」に使われている漢字の意味を見てみると、「自」はみずから、「覚」は気付く、さとることを表しています。
これらを組み合わせた「自覚」は、自分自身を知って理解することを意味しています。
具体的に「自覚」とは、自分の体に起きている症状などに気付くこと、あるいは、自分の置かれている立場や価値を知ってわきまえることを指します。
類語は「自知」【じち】、「自解」【じげ】、「自認」です。
「自知」は自分を知ること、「自認」は自分を認めること、「自解」は自分の力で理解することを指し、「自覚」とは少し違ったニュアンスを持ちます。
「自覚」の例文
・『生まれた我が子に対面し、父親の自覚が芽生える』
・『腫瘍が見つかったが自覚症状はなかった』
「認識」とは?
「認識」【にんしき】とは、物事の意義を理解したうえでその本質や価値を認める心の動きのことです。
漢字の「認」はみとめる、見分けること、「識」は知る、さとることを表しています。
これらを組み合わせた「認識」は、物事がどのようなものか見分けたうえでしっかり理解することを意味します。
つまり「認識」は、見聞きして得た情報の本質や意義を理解して認めること、またはその心の動きを指しています。
たとえば、道路で標識が見えた場合、標識が視野に入っただけで意識していない場合は、標識を「認識」したとはいいません。
一方、そこに標識があることに気付き標識の役割を理解した場合は、標識を「認識」したということになります。
「認知」【にんち】、「承知」【しょうち】は「認識」と似たニュアンスを持ちます。
「認知」は感覚や知覚に気付き、その意味を理解すること、「承知」は事情を把握することです。
「認識」の例文
・『認識不足で、間違った解釈をしたまま作業を進めてしまった』
・『コンピュータがエラーを認識する』
「自認」とは
「自認」【じにん】とは、自身の状態を認めることです。
「自らを認める」と書き表せるように、自分自身の状態を理解し認めることを指します。
具体的に「自認」とは、周りの人も認めているその人の特徴やクセを、自分でも納得して認めることを表します。
ニュアンスの近い言葉には「自負」【じふ】、「容認」【ようにん】などがあります。
「自負」は自身で認めている能力に自信を持つこと、「容認」は認めたうえで許すことです。
「自認」の例文
・『無類のラーメン好きを自認する』
・『私は人見知りで口下手だと自認している』
「自覚」と「認識」と「自認」の違い
「自覚」「認識」「自認」は、ある物事を自分で認めるという意味を持つところが共通していますが、それぞれの意味は異なります。
「自覚」「自認」は自身の状況を知るという共通点がありますが、「自覚」は自分の状況に気付くこと、「自認」は納得して認めることを指し、ニュアンスに小さな違いがあります。
「認識」は、見聞きした情報がどのようなものか判断した上で本質を理解することです。
自身のことだけでなく外界から得る情報も認めるところが、「自覚」「自認」と異なっています。
まとめ
「自覚」「認識」「自認」は、「自」や「認」を含んでいるところが共通しているため、意味が混同しがちです。
よく似ていますがニュアンスが少しずつ異なるので、正しい意味を理解した上で適切に使い分けていくようにしましょう。