この記事では、「逃避」と「逃亡」と「逃走」の違いを分かりやすく説明していきます。
「逃避」とは?
「逃避」【とうひ】とは、取り組まなければならない課題や活動を避け、考えないようにすることです。
読んで字のごとく「逃げて避ける」ことを表しており、実行したくない物事に直面したとき、その物事に取り組むことを避け、見たり考えたりすることから逃げてしまう状況を指します。
人は強いストレスを感じたとき、こころの防衛機制がはたらいて「逃避」に走ることがあるといわれます。
たとえば、関係ない物事に目を向けようとする「現実逃避」や病気を言い訳にする「病気への逃避」などがその一例です。
「逃避」は意志の弱い人がする行為と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。
ストレスで心身が傷つくことを防ぐための自然な現象とも考えられているのです。
類語には、邪魔なものを避けて通る「回避」や嫌いなものを避ける「忌避」などがあります。
「逃亡」とは?
「逃亡」【とうぼう】とは、見つからないよう逃げて隠れることです。
漢字の「逃」と「亡」は共ににげることを表しています。
また「亡」は、物陰に隠れる様子を描いた象形文字であり、逃げていなくなるニュアンスを含みます。
これらの漢字が持つ意味から、「逃亡」は逃げて見つからないよう隠れることを表していることが分かります。
「逃亡」は、課せられている義務や懲罰からのがれるため、逃げて捕まらないよう身を隠すことです。
主に、犯罪者や身柄を拘束されている者が逃げてしまうことを指します。
類語には、捕まっている者が逃げ出す「脱出」や「脱走」、逃げた者が姿をくらます「遁走」【とんそう】などがあります。
「逃走」とは
「逃走」【とうそう】とは逃げ去ることです。
また、国に身柄を拘束されている者が逃げる罪を指します。
字のまま読めば「走って逃げる」という意味になりますが、漢字の「走」は逃げ出すという意味を持っており、「逃走」は捕まっている者がその場から脱出して逃げることも表します。
日本では、受刑者など国に身柄を拘束されている者が逃げ出すと「逃走の罪」に問われることが定められています。
「逃走」と状況の近い言葉には、その場から脱出する「エスケープ」や犯罪者などがその場から逃げ出す「とんずら」などがあります。
「逃避」と「逃亡」と「逃走」の違い
「逃避」「逃亡」「逃走」はいずれも「逃」が付き、逃げることに関連した言葉になっています。
大きな違いで分けると、「逃避」は精神的に逃げること、「逃亡」と「逃走」は肉体的に逃げることを表しているところが異なります。
「逃避」は取り組むべき事柄を避け考えないようにすることです。
「逃走」は拘束されている者が逃げ出すこと、「逃亡」は逃げて身を隠すことを指します。
つまり「逃走」した者が捕まらないよう身を隠し続けると、状況は「逃走」から「逃亡」に変わるということです。
まとめ
「逃避」「逃亡」「逃走」は「逃」の付くところが共通しているため、同じような意味を持つように見えてしまいますが、それぞれの意味は異なります。
「逃避」だけが精神的に逃げることを指し、「逃亡」と「逃走」は肉体的な拘束から逃げることを表しているのだと覚えておきましょう。