この記事では、「剥がす」と「剥離」の違いを分かりやすく説明していきます。
「剥がす」とは?
「剥がす(はがす)」とは、ある物の表面に付いているもの、覆っているものをめくって取り除くことです。
漢字の「剥」には「取る」「(皮などを)むく」「離れる」などの意味があり、訓読みで「剥ぐ」(はぐ)、「剥がす」(はがす)などの使い方をします。
「剥がす」は、物体の表面に付着している薄いものを取り除くため、意図的にめくったりむいたりする行為を指します。
例えば、貼ってあるシールやポスターをその場から取り去ること、傷口の患部を覆っているガーゼをめくって取り除くことなどが「剥がす」にあたります。
なお「剥ぐ」(はぐ)は「剥がす」と似ていますが、こちらは木の皮や動物の皮を取り除いて中味を露出させるときに使われ、ニュアンスは少し異なります。
「剥離」とは?
「剥離(はくり)」とは、ある物体にくっついていたもの、覆っていたものが取れてその場から離れることです。
漢字の「剥」は「取る」という意味を持ち、「離」はくっついていたもの同士が分かれることを意味します。
それぞれの漢字の意味からも分かるように「剥離」は、もともとくっついていたものが取れて別々になってしまう状態を表しています。
一般に、「剥離」は自然に取れてしまうこと、意図的に取り除くことの両方を表す時に使われます。
例えば眼球の内側にある網膜が何らかの原因で浮き上がってしまう病気を「網膜剥離」といいます。
また、塗ってある塗料を取り除いたり貼ってある薄い紙をめくったりする意図的な行為は「剥離する」と表せます。
「剥がす」と「剥離」の違い
「剥がす」と「剥離」の違いを、分かりやすく解説します。
「剥がす」と「剥離」は、どちらも「剥」という漢字が使われており、ある物体にくっついている薄いものがめくれて取り除かれる様子が共通しています。
大きな違いは「剥がす」が意図的にものを取り除く行為のみを指すのに対し、「剥離」は自然にめくれて取り除かれる様子に対しても使えるところです。
また「剥離」は「離」という漢字が使われており、もともとくっついていたもの同士が取れて分かれてしまうニュアンスも強調されています。
「剥がす」の例文
・『子どもが壁に貼ったシールを剥がすのはひと苦労だ』
・『メモ帳は表面から1枚ずつ剥がして使えるようになっている』
「剥離」の例文
・『薬剤を使って表面のメッキを剥離していく』
・『爪の先が浮くのは、爪甲剥離症を起こしている可能性がある』
まとめ
「剥がす」と「剥離」は、どちらも物体にくっついているものが取り除かれる様子を表します。
ただし「剥がす」は意図的に物をめくって取り除くことを指すのに対し、「剥離」は自然に物がめくれて取れてしまう様子も表せるところが異なります。