「勇退」と「引退」はどちらも「身を引く」という意味を含む言葉ですが、細かな意味合いが異なるため使用する際は注意が必要です。
この記事では、「勇退」と「引退」の違いを分かりやすく説明していきます。
「勇退」とは?
「勇退」は「ゆうたい」と読む言葉で、「後輩に道を譲るために地位や役職から退くこと」や「優秀な功績を残した人が潔く役職などを辞すること」といった意味があります。
一般的には、年齢や力量不足を理由としない引退を表す際に使用されます。
「引退」とは?
「引退」は「いんたい」と読む言葉で、「地位や役職などから身を引くこと」もしくは「スポーツや芸能などにおいて現役の立場から退くこと」という意味を持っています。
スポーツの場合、学生の選手が受験あるいは就職活活動などを理由に所属する部活動やクラブから離れる状況のことも「引退」と表します。
「勇退」と「引退」の違い
次に、「勇退」と「引退」の違いを分かりやすく解説します。
「勇退」は「後輩に道を譲るために地位や役職から退くこと」や「功績を残した人が潔く役職などを辞すること」を示し、身を退くことに対して「他の人からの評価」が含まれています。
そのため、「勇退」は基本的に他者に対してのみ使用し、自分には使わない言葉となっています。
一方、「引退」は「地位や役職などから身を引くこと」もしくは「スポーツなどにおいて現役の立場から退くこと」を指します。
「引退」は「身を引くこと」という事実のみを表現しているため、自分に対しても使用することが可能です。
「勇退」の例文
「勇退」は「後輩に道を譲るために地位や役職から引退する場合」や「功績を残した人が潔く役職などを辞する場合」に使用します。
他者からの評価が含まれるため、自分に対しては用いないことがポイントです。
・『A課長が今年度末をもって勇退されることになった』
・『当団体発足当時からお世話になったBさんが勇退されました』
・『彼女は多くの人に惜しまれながら勇退した』
「引退」の例文
「引退」は「地位や役職などから身を引く場合」もしくは「スポーツ選手や芸能人などが現役から退く場合」を中心とした状況で使用します。
身を退くことそのものを示すため、自分と他者どちらに対しても用いることが可能です。
・『C選手が今年いっぱいで引退することになった』
・『タレントのDさんが来年の10月で芸能界を引退することが発表された』
・『父は昨年現役を引退した』
まとめ
「勇退」と「引退」は混同しがちな言葉ですが、「他者からの評価が含まれているか」、「自分に対して使用できるか」といった点に違いがあることが分かります。
両者の意味や使い方を理解して、適切に使い分けられるようになりましょう。