ミステリーの技法として「叙述トリック」と「ミスリード」があります。
それぞれどのような技法なのでしょうか。
この記事では、「叙述トリック」と「ミスリード」の違いを分かりやすく説明していきます。
「叙述トリック」とは?
「叙述トリック」とは、「読者の思い込みを利用し描写を工夫することで作品内の事実を誤認させるミステリーの技法」です。
謎を解くことが主目的のミステリー小説ではさまざまな謎が作品内に提示されます。
提示されるトリックは作品内で起きる出来事である、というのがミステリーの基本です。
作中の登場人物が遭遇し解決する通常のトリックとは違う、作者から読者へと直接仕掛けられる構成を利用したトリックが「叙述トリック」です。
ミステリーの読者は作者が記述したことしか知りません作者は読者に対して誠実であるという前提を覆し特定の情報を意図的に伏せて描写しなかったり誤認させるように分かりにくく記述したりなど、作品としての構成に仕掛けを施して読者に誤認させるトリックを「叙述トック」といいます。
「ミスリード」とは?
「ミスリード」とは、「わざと間違った方向に人を導くこと」を意味する言葉です。
真実から目をそらせるために誤解するよう人に仕向ける行為を指します。
ミステリーにおいては無実の人間を犯人であるかのように思い込ませる、犯行現場を誤認させるなど誤った情報をそうであると思い込ませるような意図的に誤解を誘導するトリックを「ミスリード」といいます。
「叙述トリック」と「ミスリード」の違い
「叙述トリック」と「ミスリード」の違いを、分かりやすく解説します。
「叙述トリック」が作品構造を利用して仕掛けられる作者からのトリックなのに対し「ミスリード」は描写で誤解を誘うトリック全般を指す、という違いで区別されます。
読者の誤解を誘導する「ミスリード」のうち文章構成など作者しか干渉できないメタ的な構造を利用したものが「叙述トリック」です。
まとめ
「叙述トリック」と「ミスリード」ではトリックとしての構造が異なります。
どのような形で仕掛けられているのかを基準に区別してください。