この記事では、「卒婚」と「離婚」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「卒婚」と「離婚」の違い
「卒婚」とは、比較的新しい言葉で2000年代以降から使われるようになりました。
婚姻関係は維持しているのですが、夫婦がお互い干渉せずそれぞれの人生を歩むといった形を言います。
つまり婚姻関係があることが「離婚」との大きな違いとなります。
とはいえ、いずれの場合も同居、別居とありますので、それほど親しくない人から見れば「卒婚」状態なのか「離婚」しているのかわかりにくいでしょう。
「卒婚」と「離婚」の使い方の違い
「卒婚」とは、婚姻関係の破綻ではありません。
離婚届を出してはいませんが、お互いが自由に自分の人生を歩むといった形になります。
男女関係はなくとも家族関係としては良好といった場合は「卒婚」となることが多いでしょう。
一方「離婚」とは、これ以上夫婦、家族としてやっていけないという気持ちがあり、法的に他人に戻ることです。
例えば家族としてやっていけるかもしれない場合でも、片方に別のパートナーが現れれば「離婚」ということになるでしょうか。
婚姻関係の維持がある場合は「卒婚」、離婚届を出している場合は「離婚」と使い分けるようにしてください。
「卒婚」と「離婚」の英語表記の違い
「卒婚」とは2000年代以降の日本において使われるようになった言葉ですので「卒婚」という単語そのものはありません。
夫婦の関係性を解消するといった意味を伝える時は“the dissolution of married life”(夫婦生活を解消する)という風になります。
「離婚」は“divorce”と言います。
「卒婚」の意味
「卒婚」とは2004年、杉山由美子氏の著書「卒婚のススメ」で使われた言葉で、造語となります。
現在の日本において「卒婚」は夫婦生活の新しい形として受け入れられてきています。
例えば夫婦としてやっていけなくても家族としての愛情がある場合は「熟年離婚」ではなく「卒婚」を選ぶわけです。
婚姻状態にありながら、夫婦としての義務にとらわれることはなくそれぞれが自分らしく生活をします。
同居の場合もありますし、別居を選ぶこともあります。
いがみ合っているわけではありませんので「同居離婚」「離婚前提別居」「仮面夫婦」などとはまったく意味合いが違います。
「卒婚」の使い方
「卒婚」は、離婚届は出さないものの、夫、妻としての役割にとらわれることはなくなるという意味です。
子育てを終えて老後のことを考え始める年代に「卒婚」は増えてきます。
夫婦生活の解消ですので、それぞれが新しいパートナーを作ることも可能といえば可能です。
とはいえ、籍が入っている以上は「不貞行為」となりますので、恋人ができた際は「離婚」の手続きをとることが必要です。
円満な「離婚」に限りなく近い状態ですが法律的には夫婦のままといった時に「卒婚」という言葉を使うようにします。
また新たなパートナー候補にも最初に伝えることはマナーです。
「卒婚」を使った例文
・『卒婚とは言っても君は法的には既婚者だ。女性と付き合いたいなら離婚届を出すべきだ』
・『夫が定年したら卒婚を切り出すつもり。私は生まれ故郷に戻って暮らすけど、夫は東京に残ると思う』
・『卒婚したいと妻に言ったら泣かれてしまったが、僕は山で静かに暮らしたい気持ちは変わらない』
・『卒婚しているけど、嫌いで離れたわけじゃないから時々会って食事はしているよ』
・『私たちは同居だけど卒婚しているから、食事も別々だし、お互いどこに行っているかも知らないわ』
「卒婚」の類語
「卒婚」の類語は「別居」「干渉しない生活」「自立した生活」などが当てはまるでしょう。
「卒婚」の対義語
「卒婚」とはお互いが干渉せず自立した生活を送ることです。
対義語は「同棲」「束縛しあう生活」「同居」などです。
「離婚」の意味
「離婚」とは、夫婦双方が生きている間に婚姻関係を解消することを言います。
法的に夫婦ではなくなりますので、まったくの他人という関係に戻ります。
憎みあったり、一緒にいるのが嫌になったり、他に好きな人ができたりといった理由から「離婚」しますので、一般的に「離婚」すれば別々に暮らします。
とはいえ、事情があって「離婚」しても同居を続けるといった場合もあります。
借金の問題で相手に迷惑をかけたくないと籍だけ外す、嫌い合っているものの別々に暮らす経済的余裕がない、などが理由です。
また経済力のない妻が結婚生活を我慢して続け、夫が定年した時に「離婚」を切り出すといったこともよくあることです。
このような「離婚」は「熟年離婚」と言います。
「離婚」の使い方
「離婚」とは、相手とこの先一緒にやっていけない、縁を切りたいといった強い意志で行うことです。
嫌ったり、憎む気持ちが強いと考えられますし、相手を尊重することができない状態と言っても差し支えないでしょう。
つまり「卒婚」とは意味合いがまったく違うものとなります。
「離婚」は、離婚届を出して他人同士に戻るといった時だけに使うようにしてください。
「離婚」を使った例文
・『夫は卒婚じゃ駄目なのかと最後まで言っていたが、私は離婚を選んだ』
・『離婚したいと夫から言う場合は、他に好きな女性がいることが多い』
・『離婚して他人なのに、元夫はいまだに私を妻だと思っているようだ』
・『離婚したいと言うだけで、実際離婚する勇気のない人は多い』
・『離婚するほどではないけど配偶者に一切干渉されたくないという人は卒婚が向いていると思う』
「離婚」の類語
「離婚」の類語は「離縁」「離別」「縁を切る」などがあります。
「離婚」の対義語
「離婚」の対義語は「結婚」「婚姻」「所帯を持つ」「入籍する」などがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「卒婚」と「離婚」二つの言葉の意味と違いを説明しました。
それぞれの言葉の意味を正しく理解して使い分けてください。