「矢車菊」と「矢車草」は、同じ花なのでしょうか?どのような違いがあるのでしょう。
この記事では、「矢車菊」と「矢車草」の違いを分かりやすく説明していきます。
「矢車菊」とは?
「矢車菊」(やぐるまぎく)は、キク科セント-レア属の、観賞用に栽培されている一年草です。
「コーンフラワー」「セント―レア」とも呼ばれます。
高さ20cm〜1mで、サファイアのような深い青色、白やピンクの花びらが放射状に広がった花を咲かせるのが特徴です。
観賞用の草花として、ガーデニング、切り花やドライフラワーに利用されていますが、麦畑やトウモロコシ畑に雑草として生えていたことから“cornflower”(コーンフラワー)と英名が付けられています。
また、ケンタウロス(セント―レア)が薬草にして傷を治したという神話から、学名では「セント―レア」と呼ばれています。
花の形が鯉のぼりについている矢車に似ていることから和名で「矢車草」と呼ばれていたのですが、同名の花とまぎらわしいため、現在の「矢車菊」という名前で呼ばれるようになりました。
「矢車草」とは?
「矢車草」(やぐるまそう)は、ユキノシタ科ヤグルマソウ属の、山林などの日陰に自生する多年草です。
高さ1mほどの茎に、葉のふちに切れ込みが入った手のひらのような形をした「掌状複葉」が生え、茎の先端に白い小花がたくさん集まって咲くのが特徴です。
白い花が美しいため、観賞用として栽培されることもあります。
英名は“Rodger’s bronze leaf”で、その葉の形が鯉のぼりについている矢車に似ていることから、和名で「矢車草」と呼ばれています。
「矢車菊」と「矢車草」の違い
「矢車菊」と「矢車草」の違いを、分かりやすく解説します。
「矢車菊」はキク科の植物で、「花の形」が鯉のぼりにつける矢車に似ていることからそう呼ばれています。
「矢車草」はユキノシタ科の植物で「葉の形」が鯉のぼりにつける矢車に似ていることからそう呼ばれています。
「矢車菊」は観賞用に栽培され、色鮮やかな花を咲かせます。
一方、「矢車草」は山林に自生して白い小花を咲かせます。
これらは分類上、見た目とも全く別の植物です。
それが、パーツが「矢車」に似ているということで、どちらも「矢車草」と同名で呼ばれることになっていました。
ただし、混同されることからキク科の植物のほうを「矢車菊」と呼んで区別するようになったのです。
まとめ
「矢車菊」と「矢車草」はどちらも「矢車」が付き、それだけでも十分にまぎらわしいのですが、かつては同名で「矢車草」とも呼ばれていました。
実際には分類上、見た目とも全く異なる植物です。
どちらがどのような植物なのか、それぞれの特徴を覚えておきましょう。