この記事では、「沈香」と「伽羅」の違いを分かりやすく説明していきます。
「沈香」とは?
「沈香」(じんこう)は、ジンチョウゲ科のジンコウボクという樹木から採取される香木(香りの良い木材)です。
主に香道、お線香、生薬などに用いられます。
ジンコウボクは東南アジアのジャングルに分布する常緑高木で、木の傷ついた部分から分泌される樹脂が沈着して「沈香」がられています。
ジンコウボクそのものに香りはありませんが、加熱することで甘さ、酸味、深みを伴ったすがすがしくも複雑な芳香がし、高級な香木として取引されています。
この「沈香」という名前は、水に漬けると沈むことに由来しています。
また、産地によっても香りが少しずつ異なり、香道で地や品質によって「羅国」(らこく)、「真那加」(まなか)など、それぞれ名前が付けられグレードが分かれています。
天然の「沈香」は偶然の産物であり、古くから希少価値が高いものとして流通してきました。
しかし、近年は人工的に樹木に傷をつけて「沈香」を作ることが可能になっており、手ごろな価格の「沈香」がアロマテラピーなどに使われ、広く親しまれるようになっています。
「伽羅」とは?
「伽羅」(きゃら)は、最優良品とされるベトナム産の「沈香」の名称です。
ベトナムの一部でしか採集できないこと、生成されるまでに長い年月を要し一般的な「伽羅」より複雑で奥行きのある香りを持つことから「ゴールドに匹敵する」といわれるほどの希少価値があります。
「伽羅」の香りは「沈香」よりもスパイシーで甘みがあり、かつ重厚で「言葉では表現できないほど複雑で素晴らしい」とたたえられています。
また、非常に価値が高いことから、品質が優れているものをほめる時の例えに用いられることもあります。
ちなみに「伽羅」という名前は、サンスクリットで黒い物を意味する「カーラ・アグル」からきているともいわれます。
「沈香」と「伽羅」の違い
「沈香」と「伽羅」の違いを、分かりやすく解説します。
「沈香」は東南アジアで産出される高級な香木の一種です。
「沈香」は産地や品質によってグレードが分かれており、ベトナム産の最優良品が「伽羅」と呼ばれています。
一般に「伽羅」は「沈香」と同じものという扱いはされず、「伽羅」は「沈香」よりもさらに香りが素晴らしく価値の高いものとして珍重されています。
まとめ
「沈香」と「伽羅」は、お線香や香道などで知られるオリエンタルな香りのする香木です。
「伽羅」は「沈香」の中の最優良品を指し、香りの良さ、価値に違いがあります。