この記事では、「怖い」と「恐ろしい」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「怖い」と「恐ろしい」の違い
「怖い」と「恐ろしい」は「恐怖の感情」を意味する似た形容詞です。
「怖い」は、「自分が主観的に恐怖を感じている心理状態」といったニュアンスが強い言葉です。
「怖い」と比べると「恐ろしい」は、「自分以外の第三者から見ても恐怖を抱くような、客観的な心理状態」のニュアンスを持っている違いがあります。
「あの人は怖い」というと、「自分にとっては恐ろしくても他の人にとってはそうでもない可能性」が示唆されています。
一方、「あの人は恐ろしい」というと、「自分にとっても他の人にとっても危害を加えるような恐怖の感情」が含まれている違いを指摘できます。
そのため、客観的な観点からも危険・被害が予想される「自然災害の脅威」に対しては、「怖い」よりも「恐ろしい」のほうが適切な形容詞になるのです。
「怖い」と「恐ろしい」の使い方の違い
「怖い」は、「自分自身が危ない目に遭うと思って、主観的におそれて近づきたくないこと」を意味して使われます。
「恐ろしい」は、「客観的に見ても危険・災難に遭う可能性が高くて、不安になっておそれる場合」に使うという違いがあります。
そのため、個人的な感情より客観的な危なさを伝えるべき報道の場面では、「恐ろしい台風の被害」とは言っても、「怖い台風の被害」という使い方はしないのです。
「怖い」と「恐ろしい」の英語表記の違い
「怖い」と「恐ろしい」は英語では厳密な区別があるわけではないので、言い換えても違和感がないケースが多くあります。
「怖い」を、英語を使用して表現すると以下になります。
“afraid”“be afraid of~”……自分の気持ちとして怖い。~が怖い・~をおそれる。
“scared”“be scared of~”……ビクビクして怖い。~が怖い・~に怖じ気づいている。
“terrified”……これ以上ないくらいに怖い。非常に強い恐怖。「恐ろしい」を、英語を使って表記すると以下になります。
“fearful”“be fearful of~”……実際の危機・脅威に対して恐ろしい。~を恐れてぞっとする・~が恐ろしい。
“horrified”“be horrified by~”……ぞっとするような衝撃・恐怖を感じる。~によって恐ろしい気持ちにさせられる。~が恐ろしい。
“frightened”“be frightened of~”……驚かされる。驚愕させられる。おびえる恐怖を抱かされる。~が恐ろしい。
「怖い」の意味
「怖い(こわい)」とは、「自分の身に危険が及ぶと思って恐怖を感じること」を意味しています。
「怖い」の形容詞には、「自分の体験として主観的におそろしさを感じる」といったニュアンスがあります。
「怖い」というのは、「自分がその相手・対象から何かの危害・被害をこうむるかもしれないと思って恐れること」を示している言葉です。
「怖い」の使い方
「怖い」は、「自分がある相手・状況に対して、主観としての恐怖を感じる場合」に使うという使い方になります。
「怖い」の表現は、「自分がおそろしい・不気味と思ってその対象に近づきたくない場合」に使うことができます。
例えば、「私の母親は本当に怖い」などの文章で使用されるのです。
「怖い」を使った例文
・『若い頃は怖いもの知らずで、どんな危険な相手や状況に対しても逃げたことがありませんでした。』
・『自動車事故の被害に遭ってから思うのは、スマホのながら運転をしている車は怖いということです。』
・『私の妻は本気で怒らせると手がつけられなくなって怖いので、普段から気を遣っています。』
・『宇宙旅行に何十億円も出して行きたい大富豪もいますが、人間が生身で生存できない宇宙は怖いです。』
・『怖いもの見たさで廃墟ツアーに出かけて、思わぬ事件や事故に巻き込まれるケースは多いのです。』
「怖い」の類語
「怖い」の類語には、以下の言葉があります。
・『おっかない』……自分を叱ったり威圧したりして怖い。正体が分からなくて怖い。
・『ぞっとする』……背筋がぞくっとするような恐怖を感じる。怖い。
・『身が竦む(みがすくむ)』……危険が迫ったり威圧されたりして、身が縮み上がるような恐怖を感じる。
「怖い」の対義語
「怖い」の対義語には、以下の言葉があります。
・『平気』……一般的に恐怖や苦痛を感じるようなシチュエーションであっても、その人はいたって普通の平常心であるさま。
「恐ろしい」の意味
「恐ろしい(おそろしい)」とは、「ある対象に対して、恐怖・脅威を感じること」を意味しています。
「恐ろしい」というのは、「危機・被害が実際に及ぶかその可能性があって、強い不安を感じること」を示している形容詞です。
「恐ろしい」の表現には、「客観的な危険が迫っていて恐怖を感じる」といったニュアンスが備わっています。
「恐ろしい」の使い方
「恐ろしい」の形容詞は、「何らかの危険・災い・損害が迫っていて、客観的に怖いと感じる場合」に使われます。
例えば、「恐ろしい火山噴火の場面に遭遇しました」などの例文で使用できます。
また「恐ろしい」は、「怖いの文語(書き言葉)」として使われることもあります。
「恐ろしい」を使った例文
・『東日本大震災で、大きな津波が沿岸部の町を飲み込んだ恐ろしい映像記録が多く残されています。』
・『子供時代に山で遭難して、そのまま山中で夜を明かすという恐ろしい体験をしました。』
・『どんなに恐ろしい目に遭わされても、彼は仲間が不利になるような情報を漏らしませんでした。』
・『新型コロナだけでなく、エボラ出血熱やマラリアなどの恐ろしい致命的な感染症は多くあります。』
・『恐ろしい自然災害の被害を最小化するために、平時からもしもの時に備えた対策をしておく必要があります。』
「恐ろしい」の類語
「恐ろしい」の類語には、以下の言葉があります。
・『物騒(ぶっそう)』……犯罪・暴動などが起こりそうな雰囲気がある危ない状態。
・『不穏(ふおん)』……平穏な状態ではなくて殺伐としている。殺気だっていて恐ろしい。
・『尋常でない(じんじょうでない)』……常識で考えられる普通の状態ではない。
「恐ろしい」の対義語
「恐ろしい」の対義語には、以下の言葉があります。
・『優しい(やさしい)』……恐ろしさがなくて、人に対する思いやり・親切さなどがあるさま。
・『安全(あんぜん)』……危険・恐ろしい状態がなくて平穏無事なさま。
まとめ
「怖い」と「恐ろしい」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「怖い」と「恐ろしい」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しくリサーチしたい時は、この記事の解説を読んでみてください。