この記事では、「普茶料理」と「精進料理」の意味や違いを分かりやすく説明していきます。
「善茶料理」とは?
中国の黄檗宗【おうばくしゅう】で親しまれている「精進料理」を「普茶料理」【ふちゃりょうり】といいます。
江戸時代に京都宇治で隠元禅師が人々に作り方を教えたのです。
料理の意味としては、人々が平等に飲食ができるようにという意味が込められています。
また、地位や権力といったものにとらわれず、みなが楽しく卓を囲んで食べられるように振舞うのです。
一つの卓には4人が位置に関係なく座り、取り箸も用意されていないので、自由に皿へよそって食べます。
出される料理には野菜を天麩羅にした油滋【ゆじ】や、葛煮にした雲片【うんべん】といった名が付けられているのが特徴的です。
「精進料理」とは?
仏道を完全に仕上げるため、修行僧の精神修養として用いられたのが「精進料理」【しょうじんりょうり】です。
元々は中国から禅僧が日本国内に伝えた料理でしたが、鎌倉時代に曹洞宗の道元が日本に持ち帰って作ったものが永平寺流の料理です。
寺ではお抹茶として招待した客をもてなすために目で楽しませ、味にも拘った料理が出されます。
また、肉や魚といった血が出るものは一切使わず、大豆、胡麻、野菜といった食材で作ったのが「精進料理」の最大の特徴です。
「普茶料理」と「精進料理」の違い
「普茶料理」と「精進料理」の違いを、分かりやすく解説します。
どちらも禅僧が中国から作り方を覚えて国内で伝授した料理ですが、日本では茶懐石の食事礼法の基本となったのが「精進料理」で、食即ち修行として取り入れました。
もう一方の「普茶料理」は、楽しく人と食事することに焦点を当てています。
江戸時代に日本へ伝わった「精進料理」は和食と同じように薄い味付けに仕上げられていて、一人分が最初からお膳にのせられて出される料理です。
対して「普茶料理」は日本へは鎌倉時代に伝わった中国風の揚げ物や煮物が大皿に盛り付けられ、座る位置も関係なくみなで卓を囲み、楽しく食べるものといったところが違います。
まとめ
元々は中国で食べられていた料理を禅師が日本に広めたものですが、盛り付け方や食べ方などに違いがありますので、自分なりに比較してみるのも新たな発見となるでしょう。