中世ヨーロッパの多くの芸術作品において、長い間根本的なテーマとして存在していたのが「メメント・モリ」というものです。
静物画の中に骸骨がおかれているような絵画が有名ですが、同時期に同じような考え方として「ヴァニタス」というものもあります。
それでは、この「メメント・モリ」とはどういう意味でしょうか。
また、「ヴァニタス」とは、どう違うのでしょうか。
この記事では、「メメント・モリ」と「ヴァニタス」の違いを分かりやすく説明していきます。
「メメント・モリ」とは?
「メメント・モリ」とは、ラテン語で「死を忘れるなかれ」という意味の言葉で、おもに中世ヨーロッパの芸術作品の中に死のモチーフを入れるような考え方のことを言います。
「メメント」とは英語の「memory」などに継承されているように「覚えておけ」という意味であり、「モリ」とは、英語の「mortal(死すべき)」に表れているように「死」を表します。
「ヴァニタス」とは?
「ヴァニタス」とは、英語の「vanity」に継承されているように「空虚」という意味を持つラテン語の単語であり、中世ヨーロッパの芸術作品等に現れている「死を前にして生は空虚である」という考えで作られたもののことを言います。
「メメント・モリ」と「ヴァニタス」の違い
「メメント・モリ」と「ヴァニタス」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、中世ヨーロッパの芸術作品において、死をモチーフにおいたという部分は同じですが、その考え方は違います。
つまり、「メメント・モリ」が、死と相対する生が「重要なものである」ことを基本にしているのに対して、「ヴァニタス」は、逆に、死と相対する生が「空虚なものである」ことを基本にしています。
まとめ
この記事では、「メメント・モリ」と「ヴァニタス」の違いを、解説してきました。
この2つは、死というものをバックグラウンドに様々な表現を行うものですが、これは古代から存在している様々な宗教と大きき関わっています。
この2つは基本的にはヨーロッパの考え方ですが。
東洋においてもやはり仏教やその他の宗教が死の考え方を基準にできていることから、やはりモチーフとしての死はありますが、特徴的なのは直接死のモチーフを表現に入れるということがあまりないというところでしょう。