この記事では、「整数」と「実数」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「整数」と「実数」の違い
「整数」とは、自然数とゼロ、1ずつの間隔が開いたマイナスの数のことで、数字と省略記号で表すと、(・・・,-5,-4,-3,-2,-1,0,1,2,3,4,5,・・・)といった数になります。
(・・・,)は、マイナス方向に無限大の数を表しており、-6、-7、-8といった1ずつの間隔があいた全ての数を表しています。
同様に、(,・・・)は、6、7、8のように1ずつの間隔があいた全ての数をあらわしています。
(・・・,-5,-4,-3,-2,-1)は、の部分を負の整数と呼び、(1,2,3,4,5,・・・)の部分を正の整数(自然数)と呼びます。
自然数は、日本の中学、高校の数学では0(ゼロ)が含まれませんが、大学以降では0が自然数に含まれる場合があります。
「実数」とは、有理数と無理数を合わせたものです。
実際に存在する数量という意味もあります。
有理数とは、整数と分数のことで、分数には、有限小数、循環する無限小数があり、整数“p”と0ではない整数“q”を用いて、“p/q”と表せる数です。
有限小数は、0. 16や1. 15のように小数点以下の数が有限の小数のことで、循環する無限小数は、1/3=0. 333333・・・のように、小数点以下の数が無限に続く小数のことです。
無理数とは、有理数でない数のことで、前述の“p/q”といった二つの整数の比で表せない数です。
小数では、循環しない無限小数のことで、誰しもが聞いたことがある例としては円周率があります。
円周率は、平面上の円の直径に対する円周の長さの比の値のことで、3. 14159265・・・のように異なる数字が永遠と続き、循環することが無い無限小数となります。
他には、ルート2=1. 141421・・・のようなものがあります。
「整数」は、(・・・,-5,-4,-3,-2,-1,0,1,2,3,4,5,・・・)といった数なのに対し、「実数」は、有理数と無理数を合わせたものという違いがあります。
「整数」と「実数」は、「実数」の中に有理数があり、有理数の中に「整数」があるという関係性になります。
「整数」と「実数」の使い方の違い
「整数」は、(・・・,-5,-4,-3,-2,-1,0,1,2,3,4,5,・・・)といった数なので、小数や分数などの数を含まないものに対して使われます。
小学校の算数では、自然数(正の整数)と0を合わせた数に対して整数とするといった使い方がされていますが、中学校の数学では、負の整数を学ぶことで全ての「整数」を使うことになります。
小学校時点での「整数」は、分数や小数といった数と区別する目的で使われることとなり、中学校以降では、有理数を説明する上で、整数と、整数で無い有理数を区別する目的で使われることになります。
「実数」は、中学校の数学で有理数と無理数を合わせたものに対して使われますが、高校以降の数学では、虚数に対応して使われます。
虚数は、実数では無い複素数のことですが、中途半端に説明してもわかり辛いので、数学の二次方程式や物理学、大学以降の信号処理、電磁気学などの工学で扱われるということを知っておくと良いかもしれません。
「実数」の実際に存在する数量に使われる例としては、コロナの感染者数の実数や高齢者のワクチン接種の実数などがあります。
「整数」と「実数」の英語表記の違い
「整数」の英語表記は、“integer”、“integer number”となります。
“integer”は、完全体、整数という意味があり、基本的に整数と翻訳されるものですが、元となったラテン語の語源として、完全無欠なもの、手で触れられていないものといった意味があるため、そちらの意味合いで使われる場合があります。
また、0を含むかどうかについては、人によって意見が分かれる点に注意が必要です。
“integer number”は、“integer”と数、総数、人数、個数、算数、数字、番号などの意味を持つ“number”を合わせて、整数に限定された意味を持ちます。
「整数」と間違いやすい英語についても触れておきます。
“whole number”は、整数と翻訳される場合もありますが、負の数を含まないため、間違っていると考えられ、整数・分数・小数を含む数と理解されるようです。
“natural number”は自然数のことです。
「実数」の英語表記は、“real number”、“actual number”となります。
“real number”は、実際にある、現実の、実在する、本物の、天然のなどの意味を持つ“real”と“number”を合わせて実数となります。
“actual number”は、現実の、実際上の、事実上の、現在のなどの意味を持つ“sctual”と“number”を合わせて実数となります。
使われる傾向としては、“real number”の方が多いようですが念のためあげておきます。
「整数」と「実数」を使った例文
・『正の整数“m,n”を満たす解を求めよ』
・『正の整数は、自然数のことです』
・『日本語の整数は、0を含みます』
・『整数は、分数や小数を含みません』
・『次の2次関数の実数解の個数を求めよ』
・『実数は、有理数と無理数を合わせたものです』
・『整数は実数に含まれます』
「整数」と「実数」の関連語
関連語には、自然数、有理数、無理数があります。
自然数とは、(1,2,3,4,5,・・・)のように、物を数えるときに用いる数のことで、高校までの数学では0を含めないことが多く、大学以降では0を含める場合があります。
有理数とは、整数“p”と0ではない整数“q”を用いて、“p/q”と表せる数で、整数と分数を合わせた数のことです。
無理数とは、実数のうち、有理数でない数のことで、整数“p”と0ではない整数“q”を用いて、“p/q”と表せない数のことです。
「整数」の対義語
「整数」の対義語には、分数、小数があります。
分数とは、2つの数“p・q”の比として表される数のことで、数“p”と0ではない数“q”を用いて、“p/q”と表せる数のことで、“p”を分子、“q”を分母と呼びます。
例では、あえて整数とせず、分数分の分数や小数分の小数などを想定して数と表記しています。
小数とは、0. 1や0. 25のように、1よりも小さい数のことで、小数点を使って十進法で表します。
例えば、1の10分の1を0. 1と表し、1の100分の1を0. 01というように表します。
「実数」の対義語
「実数」の対義語には、虚数があります。
虚数とは、実数では無い複素数のことで、複素数“a+bi”で“b≠0”となるものです。
“i”は虚数単位を表し、“a,b”は実数を表します。
二次方程式では、“i=√(-1)”となる数を導入することで、全ての解を求められます。
電気工学では、電流の記号“i”と区別するために、“j”が使われており、“j=√(-1)”となっています。
まとめ
「整数」と「実数」について説明しました。
「整数」は、(・・・,-5,-4,-3,-2,-1,0,1,2,3,4,5,・・・)といった数なのに対し、「実数」は、有理数と無理数を合わせたものという違いがあります。
「整数」と「実数」は、「実数」の中に有理数があり、有理数の中に「整数」があるという関係性になります。
「整数」は、小学校の算数で、自然数(正の整数)と0を合わせた数に使われており、中学校の算数から負の整数を使います。
「実数」は、中学校の数学で有理数と無理数を合わせた数に対して使われますが、高校以降の数学では、虚数に対応して使われます。