江戸幕府には建築に関係する仕事を担う役職として「普請奉行」と「作事奉行」が置かれていましたが、2つの役職はどのような違いがあったのでしょうか。
今回は、「普請奉行」と「作事奉行」の違いを解説します。
「普請奉行」とは?
「普請奉行」とは、「江戸幕府に置かれたさまざまな土木工事を担当する役職」です。
「普請奉行」の使い方
「普請奉行」の「普請」とは土木や建築の工事のことで現在でも寺を工事する時などに使います。
関東の田舎町だった江戸に幕府を開いた江戸幕府は当初から各種工事を最重要課題として位置付け専門の役職を設置しました。
「普請奉行」は主に城の石垣や道路整備、上下水道の造営など土木工事全般を担当する役職です。
「作事奉行」とは?
「作事奉行」とは、「江戸幕府に置かれた主に建物の工事を担当する役職」です。
「作事奉行」の使い方
1632年に設置された役職で木工関係を中心にさまざまな建築工事の差配を担当します。
江戸城の維持管理も重要な役職であり城門や城内の修繕のほか瓦の葺き替えや畳替え、植木の手入れなども「作事奉行」の担当です。
「普請奉行」と「作事奉行」の違い
主に土木工事を担当するのが「普請奉行」、主に建築工事を担当するのが「作事奉行」という担当する工事の分野が異なります。
江戸幕府が開かれた当初は「普請奉行」が工事担当の専任として設置され各種工事を差配していましたが、次第に土木工事だけで手一杯になります。
手が回らない建築関係を担当する役職として新たに設置されたのが「作事奉行」です。
どちらも役高は2000石で格としては同格です。
「普請奉行」と「作事奉行」に徳川家の菩提寺の修繕などを担当する「小普請奉行」を合わせた三奉行職を「下三奉行」と称します。
「普請奉行」の例文
・『普請奉行を拝命した』
・『石垣の修繕は普請奉行の仕事だ』
「作事奉行」の例文
・『作事奉行に任じられる』
・『畳奉行は作事奉行の配下である』
まとめ
「普請奉行」と「作事奉行」は担当する工事の種類が違います。
似たような役職に思われがちですが全くの別物なので違いを知っておきましょう。