「大破着底」と「沈没」はどちらも船舶の被害を表す言葉です。
よく似た状況を表す2つの言葉はどのような基準で区別されるのでしょうか。
今回は、「大破着底」と「沈没」の違いを解説します。
「大破着底」とは?
「大破着底」とは、「船舶が自力航行不能なほどに損傷し船体の一部が水底に接触している状態」を指す言葉です。
「大破着底」の使い方
船舶や車両などが自力で動けなくなるほどひどく破壊されることを「大破」といいます。
「大破着底」は大破した上に船舶が浮上していられず沈んでしまい船体の一部もしくは全部が水底に着いてしまった状態を表す言葉です。
「沈没」とは?
「沈没」とは、「船舶がすっかり水の中に沈んだ状態」を指す言葉です。
「沈没」の使い方
船舶が破損や暴風雨などにより水の上に浮いている状態を維持できず水中に沈んでしまうことを指します。
船底に穴が空いて浸水したり転覆したりといった異常事態によって水中に沈むことを指す言葉なので、潜航機能を備える潜水艦が水に沈むのは「沈没」ではありません。
「大破着底」と「沈没」の違い
外的要因によって生じた破損により航行不能になり水中に没して船体の一部が水底に触れている状態が「大破着底」、理由にかかわらず船が水の中に沈んでしまうのが「沈没」です。
「大破着底」は船体の一部が水面に出ているのに対し「沈没」は船体のすべてがすっかり水に没して水上から姿を消してしまう状態を指す、というのが2つの違いです。
大破して浅瀬に乗り上げた船は「大破着底」ですが「沈没」ではありません。
「大破着底」の船舶が徐々に沈み始めすっかり水に没してしまうと「沈没」になります。
「大破着底」の例文
・『敵の砲撃で大破着底した』
・『大破着底した軍艦から脱出する』
「沈没」の例文
・『沈没した船を引き上げる』
・『転覆した船が沈没してしまった』
まとめ
「大破着底」と「沈没」は船体の一部が水面よりも上にあるかどうかで区別されます。
はっきりとした基準で区別されるので憶えておきましょう。