「開祖」と「始祖」は同じような意味で使われる言葉ですが、どのような基準で使い分けられているのでしょうか。
今回は、「開祖」と「始祖」の違いを解説します。
「開祖」とは?
「開祖」とは、「流儀や流派を開いた最初の人」を指す言葉です。
「開祖」の使い方
知識や技術を整理し体系立てた物事のやり方のことを「流儀」といいます。
流儀が人から人へと受け継がれる中で分かれたり派生したりして新しく独立したものを「流派」といいます。
流儀や流派を新しく作り広めることを「開く」といい、初めに作り出して開いた人が「開祖」です。
流儀や流派のように代々受け継がれていくものを最初に考え出した人に対して用いる表現で、作り出した本人が代々受け継いで残していくことを意識していた場合に用いられます。
「始祖」とは?
「始祖」とは、「物事を初めて行なった始まりの人」を指す言葉です。
「始祖」の使い方
ある物事を始めた最初の人を指します。
どのような物事も最初は誰かの手によって始められますが、それよりも以前に誰もやっていなかったことを一番にやった人が「始祖」です。
新しく作り出そうと思って始める場合もありますが、たまたま始めたものが後世に残っていった場合も含みます。
「開祖」と「始祖」の違い
「開祖」と「始祖」はどちらも物事を始めた最初の人を指す言葉です。
2つの違いは「次代へ受け継ぐことを前提にして作り出したかどうか」です。
「開祖」は宗教の宗派や剣術の流儀など次の代に受け継ぐことを念頭におきながら自分が持つ知識や技術をまとめて形にした人を指すのに対し、「始祖」は継承などは特に考慮せず始めた人に対しても用いられる表現です。
受け継ぐことを前提に始めた人が「開祖」、始めたものが結果的に受け継がれた人が「始祖」という違いで区別されます。
「開祖」の例文
・『開祖の墓参りをする』
・『一刀流の開祖は伊藤一刀斎である』
「始祖」の例文
・『始祖の足跡を訪ねる』
・『始祖が編み出した製法は一切変えていない』
まとめ
「開祖」と「始祖」はとてもよく似た意味の言葉です。
それほど厳密な基準で使い分けられてはいませんが、言葉の持つ本来の意味を正しく理解して区別してください。