この記事では、「縮小」と「萎縮」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「縮小」と「萎縮」の違い
「縮小」とは、長さが短くなったり、面積が狭くなったり、間がつまったりして、小さくなること、また小さくすることです。
「萎縮」とは、膨らんでいたもののハリが失われて縮むこと、元気がなくなることです。
どちらの言葉にも、ちぢむ、ちぢまる、ちぢめるという意味を持つ漢字である「縮」が使用されており、ちぢむ、ちぢまるという意味を持っている言葉である点は同じです。
しかし、何が縮むのかという点で意味が異なります。
「縮小」の場合は、主に規模や物体が縮まって小さくなることをいいます。
ある程度の大きさがあるものが小さくなることです。
パソコンの画面の文字の大きさは、ある機能を使うと大きくしたり、小さくしたりすることができます。
この小さくすることを「縮小」といいます。
「萎縮」の場合は、主に物体がしぼんで縮むことをいいます。
しぼむとは、ハリがなくなることです。
元気がなくなる意味もあり、犬を叱るとしょぼんとしたようになることがありますが、あのような感じです。
「縮小」と「萎縮」の使い方の違い
長さが短くなる、面積が狭くなる、間がつまるなどして、小さくなることについて「縮小」を使用します。
規模について使われることが多いです。
ハリがなくなって縮むことや、元気がなくなることについて「萎縮」を使用します。
「縮小」と「萎縮」の英語表記の違い
「縮小」は英語で“reduction”や“curtailment”と表現をします。
「萎縮」は英語で“withering”や“atrophy”と表現をします。
「縮小」の意味
「縮小」とは、長さが短くなったり、面積が狭くなったり、間がつまったりして、小さくなることです。
パソコンで「縮小」の操作をすると、文字が小さくなります。
このとき、文字のひとつひとつの幅や線の長さが小さくなっています。
特に規模が小さくなることについていう言葉です。
これまで100店舗を展開していた店があったとします。
この店は事情により、店の数を減らす、つまり規模を小さくすることにしました。
たとえば、100店舗から70店舗にするなどです。
このような規模が小さくなる意味も持っています。
他の例でも考えてみましょう。
もともと5万人が訪れる予定だったイベントが、諸事情により来場者が1万人にまで減ってしまったとします。
これも規模が小さくなっているということができます。
たとえば、もともと2店舗あった店が1店舗になることについては、「縮小」とはいわないことが一般的です。
ある程度の大きさがあるものが小さくなることを指しています。
「縮小」の使い方
長さが短くなる、面積が狭くなる、間がつまるなどして小さくなることを指して使用します。
規模について使うことが多い言葉です。
一定の大きさがあるものが、縮んで小さくなることを意味している言葉で、もともと小さいものがさらに小さくなることについては、あまり使いません。
人間は年齢を重ねると身長が低くなることがあります。
もともとの身長よりも小さくなっていますが、人間のことについてもあまり使わない言葉です。
「縮小」を使った例文
・『店舗数を大幅に減らして縮小する』
・『期間が縮小されたので早くしなければ』
・『オフィスを縮小することが決まった』
・『規模が縮小されてもイベントは開催します』
「縮小」の類語
「萎縮」「収縮」「短縮」「凝縮」が類語です。
「収縮」とは、物体や事柄がひきしまって小さくなることです。
「短縮」には、時間や距離など長さをはかれるものが短くなるという意味があります。
「凝縮」とは、小さくして一点に固めることです。
「縮小」の対義語
「拡大」が対義語です。
広げて大きくするという意味があります。
「萎縮」の意味
「萎縮」とは、膨らんでいたもののハリがなくなって縮むこと、元気がなくなることです。
元気がなくなる意味については、元気がある状態を心の中が満タンで元気を入れる袋にハリがある状態だとすると、元気がなくなって袋が縮んでしまったような状態を意味しています。
子どもを叱ると、元気がなくなってしまうことが少なくありません。
どことなく、体も小さくなってように見えることもあります。
背中を丸めたり、部屋の隅で体を小さくしていたりすることもあります。
犬も叱ると元気がなくなってしまいます。
体も小さくしているように見えることもあります。
このような状態を意味する言葉です。
大勢の前で発表するときにも「萎縮」することが珍しくありません。
緊張したり、不安になったりして、気持ちが縮んでしまいます。
臓器が小さくなって、機能を果たさなくなる意味もあります。
「萎縮性胃炎」という病気があります。
この病気は、長い間に渡って胃で炎症が起こり、粘膜の破壊と修復が繰り返されて、次第に胃粘膜が薄くなっていきます。
本来あるべき厚さの粘膜がなく、小さくなっている状態ということができます。
「萎縮」の使い方
しぼんで小さくなることについて使用をします。
しぼむには、膨らんでいたもののハリがなくなって小さくなること、期待で大きく膨らんでいたものが、勢いを失うことという意味があります。
元気がなくなるとき、期待で膨らんでいたものが失われてしまったり、元気で満たされていた心の袋のハリが失われて小さくなったりしています。
元気がなくなるという意味でも使われる言葉です。
臓器が小さくなって機能を果たさなくなる意味もあり、「萎縮」とつく病名がいくつもあります。
「萎縮」を使った例文
・『子どもを委縮させてしまった』
・『叱ったため部下が萎縮した』
・『脳の萎縮がみられます』
・『いつまでも萎縮していないで元気を出して』
「萎縮」の類語
「縮小」「収縮」「短縮」「凝縮」が類語です。
「萎縮」の対義語
「膨らむ」が対義語です。
内からの力で大きくなる、期待や考えでいっぱいになるという意味があります。
まとめ
縮むという意味を持つ2つの言葉ですが、何が縮むのかという点と使われ方が違います。
また「萎縮」は元気がなくなる意味もあります。